平成25年(行ケ)10089【2室容器入り経静脈用総合栄養輸液製剤】<清水節>
*高圧蒸気滅菌の適用でビタミン類の分解を招く
⇒阻害事由あり
⇒進歩性○
ビタミンの種類ごとに分解される量は異なるから,ビタミンの種類ごとに量を調整する必要が生じることになり,別の技術的課題が生じる。
(判旨抜粋)
…輸液製剤を高圧蒸気滅菌することが周知であるとしても…引用発明に適用する動機付けはない。むしろ,一般にビタミン類は熱や光によって分解されやすいという技術常識からすれば,マルチビタミン剤を混注した後…高圧蒸気滅菌すると,ビタミン類が分解されてしまい,アシドーシス予防効果を充分に達し得ないことにもなりかねないから,高圧蒸気滅菌することには阻害要因がある…。…ビタミンの種類ごとに熱安定性が異なり,高圧蒸気滅菌によって分解される量は異なるから,電解質や栄養素の充分な補給という当初の目的を達成するためには,単純にネオラミン・マルチVの投与量を増加すれば足りるわけではなく,ビタミンの種類ごとに量を調整する必要が生じることになり,これは別の技術的課題というほかない。かかる技術的課題が新たに生じるにもかかわらず,高圧蒸気滅菌をすることは一般的には想定し難い。
https://www.ip.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail?id=3794
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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