平成17年(行ケ)10223【酸性水中油型乳化調味料】<佐藤>
*予測できない相乗効果を考慮して進歩性を認めた事例
「併用することにより…一方を用いる場合と比較して…油相分離を生じ難いという…相乗効果である…。…相乗効果は,当業者が予測できかったことを合わせ考えれば…」容易想到でない。
(判旨抜粋)
本件発明1は,ホスホリパーゼA処理卵黄とオクテニルコハク酸化澱粉を併用することにより,ホスホリパーゼA処理卵黄又はオクテニルコハク酸化澱粉の一方を用いる場合と比較して,焼成あるいはフライという加熱処理を施した場合に,油相分離を生じ難いという効果を奏するものであることが認められ,上記(ウ)によれば,ホスホリパーゼA処理卵黄又はオクテニルコハク酸化澱粉の一方しか用いない場合には,その配合量を増加させても,焼成した場合に,油相分離が生じ,保形成も崩れることが推認されるから,本件発明1の上記効果は,ホスホリパーゼA処理卵黄とオクテニルコハク酸化澱粉を併用することによる相乗効果であると認めるのが相当である。…
…相乗効果は,刊行物1,2の記載から当業者が予測することができないものであることを合わせ考えれば,刊行物1において,引用発明に必要に応じ配合することができるとされているでんぷん,デキストリン,ガム類に代えて,刊行物2の教示に従って,オクテニ ルコハク酸化澱粉を配合することについて,当業者が容易に想到することができたということはできない…。
https://www.ip.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail?id=355
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)