大阪地判平成15年(ワ)10959【Al系スパッタリング用ターゲット材】<山田>
あるターゲット材が数値限定を充足するか否かを判断するために、均一であるならば、対象製品の一部の組織、一部の物、端材を観察すれば充足立証OK
(但し、先使用発明の文脈)
Cf.令和5年(ネ)10026
(判旨抜粋)
…あるターゲット材が…充足するか否かを判断するためには、その表面全体を観察しなくとも、一部分の組織を観察すれば足りる…。加えて、製造方法と製造条件を同様にして複数のターゲット材を製造する場合には、そのうちの一部を観察した結果によって、他のターゲット材も含めた…充足性を判断することができ、さらに、ターゲット材を製造する際に生じた端材についても、これが同一の母材である圧延板から製造されたターゲット材とほぼ均質の組織であるといえるならば、これを観察した結果によって、同一の母材である圧延板から製造されたターゲット材…の充足性を判断することができる…。なぜならば、工業的実施の場面を考えれば、そもそも、製品となるターゲット材…の全表面積を光学顕微鏡を用いて組織観察することは、事実上不可能というべきであり、また、光学顕微鏡を用いてターゲット材の組織観察をするためには、表面の研磨等を伴う破壊検査となるところ…、出荷前の製品についてこのような検査を行えば、その製品は出荷不能となるのであるから、組織観察の対象としては、製造方法と製造条件を同一とする複数の最終製品のうちの一部について、さらにその表面の一部分を観察すれば足りるものと解すべきである。…端材であっても、その組織が製品となったターゲット材の組織とほぼ均質である限り、製品となったターゲット材から得たサンプルと本質において変わるものではないから、このような端材を観察することによっても、最終製品であるターゲット材の…充足性を判断することができる…。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/731/009731_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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