大阪地判平成10年(ワ)7191【筆記具のインキ筒】 ※充足するイ号に別物質を加えたら非充足となった事例!!
*ゲル化剤を加えないと充足であるが、ゲル化剤を加えたら非充足とした。
ゲル化したポリブテンは、発明の目的(逆流防止剤)に鑑みて、ゲル化前と異なる物質と認定した。
⇒「逆流防止剤がポリブテン」非充足
Cf.東地H17(ワ)14346
(判旨抜粋)
…イ号物件の逆流防止剤のポリブテンは、ゲル化剤によってゲル化されているものの、ゲル化剤の3次元網の目構造の中において、なお、ポリブテンのまま存在しているのであるから、本件考案の「逆流防止剤がポリブテンよりなり」という構成を具備していると見る余地がないではない。…
ゲル化剤によってゲル化したポリブテンは、通常は高い粘度を示しつつも、筆記によるインキの流出に応じて、逆流防止剤の剪断速度が増加して、その見かけ粘度が低下し、インキに追従するものと認められる。…
逆流防止剤として用いられるという観点から見た場合、ゲル化剤によってゲル化したポリブテンを「ゲル化剤の添加(又はゲル化剤の網の目形状)」と「ポリブテン」とに分け、「ゲル化剤の添加(又はゲル化剤の網の目形状)」を単なる付加的構成と見るのは相当でなく、単体のポリブテンとゲル化剤によってゲル化したポリブテンとは、異なる物質というべきである。よって、逆流防止剤がゲル化剤によってゲル化したポリブテンよりなるイ号物件は、本件考案の「逆流防止剤がポリブテンよりなり」という構成を具備しないというべきである。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/566/012566_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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