大阪地判令和4年(ワ)9112、11173【もれ防止用シール材】<松阿彌>
*パラメータ/数値を対象製品から認識できない。⇒非充足
画像解析の結果報告される糸の断面は、不定形で円又はそれに近い形状を備えておらず、かかる画像から、「径」(といえるもの)を認識することも困難である。…構成要件1Cの充足が立証されたということはでき…ない。
⇒非充足
(判旨抜粋)
原告…の測定は、被告製品のシール材に対し、接着剤を滴下して浸み込ませ、乾燥後、養生テープで固定し、パイル糸の配列方向に対し垂直となるように、シール材に金尺を当てて、カット治具である剃刀刃を沿わせて一回のスライスにより切断し、断面画像を撮像した上、該画像を解析して、緯糸とパイル糸の断面積を求めるというものである。…
しかし、…構成要件1Cは、糸の「径」の大小をその要素としており、糸の太さの比較に断面積を用いることは文言の一義的な意味に反し、また前述の当業者の技術常識にも合致しない…。…また、具体的な測定手段をみて、上記測定は、被告製品を加工、破壊した上で測定するものであって、原告が自らいう「製品状態での測定」とも前提を異にするものである…。加えて、上記切断方法は、繊維の方向に垂直に正確に切断されることが保証されるものともいえず、切断角度、切断箇所の違いによる断面積の変化が何ら考慮されていないと見受けられ、測定の条件統制にも疑義がある。画像解析についても、糸(及びこれを構成する繊維)の外郭のとらえ方や、空隙の有無等によって「断面積」が異なり得ることが見て取れる。…画像の作成過程、画像解析の双方において、測定の正確性、合理性が担保され たものとはいえないというべきである。また、画像解析の結果報告される糸の断面(空隙を含む外郭)は、不定形で円又はそれに近い形状を備えておらず、かかる画像から、「径」(といえるもの)を認識することも困難である。そうすると、…構成要件1Cの充足が立証されたということはでき…ない。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/329/093329_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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