大阪地判令和4年(ワ)2058【床の開口蓋】<武宮>
*均等論第3要件のみを否定した!!(第2要件○)
「当業者において、本件発明1の『ネジ孔』の構成から、あえて締込みの強度が低下する…置換することが容易である…証拠はないから、均等侵害の第3要件を認めることはできない。」
(判旨抜粋)
本件発明1は、蓋枠の裏面に形成される「ネジ孔」にネジをねじ込んで蓋表板と蓋基板を密着状に固定し、段差やガタ付きを防止するとの作用効果を奏することになるのに対し、「蓋(フロア仕様)」は、被告製品1のふた枠に設けられるふた枠アシストねじ円弧部とこれと対となる裏蓋の円弧部が組み合わさって形成される空間にふた枠アシストねじが締め込まれて、裏蓋とフロア材を密着状に固定し、段差やガタ付きを防止されることになり、この点では本件発明1と同一の作用効果を奏するから、均等侵害の第2要件は認められる。
一方、ネジが締め込まれる空間は、複数部材より形成される場合と比較して単一の部材により形成される方がネジによるより強度の締込み(固着力)が実現されるというのが技術常識であると解されるところ、当業者において、本件発明1の「ネジ孔」の構成から、あえて締込みの強度が低下すると考えられる被告製品1の上記構成に置換することが容易であることを裏付けるに足りる証拠はないから、均等侵害の第3要件を認めることはできない。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/073/093073_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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