令和5年(行ケ)10053【ペリクル膜】<宮坂>
*引用例が当然満たすとか、通常そうなるというラフな議論が退けられた。
「引用発明…が面内配向…といって、RB0.4以上事項を当然に満たすと判断…できない。…通常の発想…について具体的に特定する主張立証」もない。
⇒進歩性○
(判旨抜粋)
引用発明1のCNTバンドルが面内配向の特性を有しているからといって、RB0.4以上事項を当然に満たすと判断することはできない。…被告の主張する「通常の発想のもとで、通常の性状のSWCNT及び通常用いられるプロセスで製造された」との薄膜自立無秩序SWCNTシートの製造方法や、当該薄膜自立無秩序SWCNTシートの「膜厚、バンドル径及び自立性」について具体的に特定する主張立証はされておらず、したがって、「比較例1よりも実施例1に相当程度似通っている薄膜自立無秩序SWCNTシート」の内容も明らかではない…。かえって、…原告らが引用文献2記載の方法で作製したCNT自立膜…ではそれぞれRBが-0.38、-0.26であったのに対し、本件発明の完成当時に製造されたCNT自立膜では1.04だったのであり、薄膜自立無秩序SWCNTシートであれば、RB0.4以上事項を満たしているともいえない。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/155/093155_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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