令和4年(行ケ)10110【鋼管矢板式係船岸】<宮坂>
*数式の容易想到性を問題とした
⇒進歩性〇
「甲1…ρの式に係る構成…が理論的にあり得ることを示すにとどまる…ρの式を導出…が容易…と認められない…、数値限定発明であるρの式に係る構成の進歩性を否定するものではない」
※パラメータ・数値限定発明は、数式が理論的に有り得ることを示すだけでは、容易想到性を否定できない!!
(判旨抜粋)
ρ(=HT4/EI)>0.412lh+72.118…
本件特許出願当時の技術常識…からすれば、SK Y490より降伏強度が高い鋼材を使用し、ρの式を用いずにρの式を 満たす物が合理的に設計され得るとは認め難いし、そのような抽象的な可能性があることは、数値限定発明であるρの式に係る構成の進歩性を否定するものではない。甲1文献の図6.9については、【図2】のグラフが鋼管矢板について当てはまるのと同様に、鋼矢板、鋼管矢板を問わず当てはまると認められるが、このことは、ρの式に係る構成を満たす鋼管矢板式係船岸が理論的にあり得ることを示すにとどまるものであって、上記図6.9の グラフからρの式を導出することを当業者が容易になし得たと認められない…、数値限定発明であるρの式に係る構成の進歩性を否定するものではない。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/832/092832_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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