令和4年(行ケ)10057、10054【ランプ】<本多>
当業者は、直線近似式と実測データには残差が存在するという技術常識を踏まえて、明細書中の発明の効果を僅かに満たさない試料についても、”おおよそ所望の”輝度均斉度が得られ、発明の課題を解決できると理解できる。
⇒サポート要件〇
(判旨抜粋)
本件明細書に接した当業者は、…本件パラメータが1.09<y/xであれば、粒々感を抑制するという課題を解決できると認識するものである。他方、本件訂正後の特許請求の範囲に特定された本件各発明における本件パラメータについてみると、1.09<y/xの範囲で、y/xの下限や上限を適宜特定し、さらには、x値(請求項5~8)の範囲を特定するものであるから、本件…発明は、輝度均斉度がおおよそ85%以上となる範囲を特定するものであることを理解できる。…
原告は、本件明細書の実験結果【図7A】には、y=1.09xの段階で輝度均斉度が85%に達していない試料…が記載されていること等から、実験結果から当業者が課題を解決できると認識できないなどと主張するが、…当業者は、直線近似式と実測データには残差が存在するという出願時の技術常識を踏まえて、本件各発明を理解するところ、原告が指摘する試料番号10、13等についても、このような技術常識を踏まえて、おおよそ所望の輝度均斉度が得られ、本件各発明の課題を解決できると理解できるものである。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/986/092986_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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