令和4年(ネ)10078【片手支持可能な表示装置】<菅野>
*特許権者は、原審で訂正の再抗弁を3回主張した。
⇒”控訴理由書で”4回目の訂正の再抗弁を主張したが、審理経過に鑑みると、本来であれば時機後れ却下であるとされた。
(ただ、反論されていることから判断を示した。)
(判旨抜粋)
原審における審理経過についてみると、控訴人は、原審において、第1回弁論準備手続期日(令和元年11月18日)における本件特許が新規性及び進歩性を欠く旨の無効の抗弁の主張(被告第1準備書面)を受けて、第3回弁論準備手続期日(令和2年7月27日)までに、第2次訂正に係る訂正の再抗弁に係る原告第2準備書面を提出したが、本件無効審判の手続における訂正請求に合わせて、第3次訂正に係る訂正の再抗弁を記載した令和3年3月3日付け原告第5準備書面及び同年5月27日 付け原告第6準備書面を提出した(これらの準備書面は、第4回弁論準備手続期日(令和3年12月16日)において、訂正書面を含めて陳述された。)。原判決は、第2次訂正及び第3次訂正に係る訂正の再抗弁はいずれも訂正要件を充足せず、本件特許は特許無効審判により無効とすべきものと判断したところ、控訴人は、控訴理由書で、第4次訂正に係る訂正の再抗弁の主張を追加したものである。こうした原審での審理経過に鑑みると、第4次訂正は、時機に後れて提出された攻撃防御方法に当たり、その提出が後れたことについて控訴人には重過失があるから、本来であれば却下は免れないが、被控訴人から第4次訂正については訂正要件を充足しないこと等を含め、第4次訂正に係る訂正の再抗弁についての反論がされており、この限度では訴訟の完結を遅延させることになるとまではいえないため、以下、判断を加えることとする。
…2つの表示板を約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度に「ストッパにより」「固定する」構成eの中間左右見開き固定手段は、「一時的に固定」する手段であり、2つの表示板を「摩擦力により」「保持する」構成Cの任意角度保持手段は「半固定」をする手段であることは明らかであり、両者は異なる固定手段を用いる別な手段であることが当然に理解できる。…任意角度保持手段について「任意の角度」を約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度を意味するなどと限定して解釈する根拠はないこととなり、…通常の語義に従い、0度から360度の範囲が含まれると理解すべきものである。…このような構成は訂正前明細書には記載されていない。…
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/824/091824_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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