令和2年(行ケ)10033【油組成物からの好ましくない成分の除去】<鶴岡>
*引用発明は別の目的であったが、同じ効果を奏することが周知だった
⇒一致点
「本件発明7…は…不純物の少なくとも一部を油から分離させて除去し得る点において…水性流体…処理と異なるところはない」
(判旨抜粋)
本件優先日当時,油の精製において…アルカリ精製による脱酸処理の前に脱ガム処理を経ること,一般的な脱ガム処理の方法の1つとして,水や水蒸気等の水性流体を油組成物と接触させ,水和したガム質を含む親水性の不純物を油から分離して除去する方法があったことは,いずれも周知の技術であったと認められる。また,…本件優先日当時,蒸留(物理的精製)による脱酸処理の前に脱ガム処理又は水洗の処理を経ることは,周知であったと認められる上,…水や水蒸気等の水性流体を油組成物と接触させた後に分離する処理によってタンパク質性化合物が除去されることも,周知であったと認められる。…そうすると,本件発明7のステップ(b)は,タンパク質性化合物を含む親水性の不純物の少なくとも一部を油から分離させて除去し得る点において,上記の水や水蒸気等の水性流体を用いた脱ガム処理又は水洗の処理と異なるところはないというべきである。…
甲2文献においては,油をストリッピング工程の前に前処理してもよいと記載されている…。…そして,…ストリッピング処理を行う前に水や水蒸気等の水性流体を用いた脱ガム処理又は水洗の処理を経ることが周知であったことからすれば,甲2発明のストリッピング処理の前に,水や水蒸気等の水性流体を用いた脱ガム処理又は水洗の処理を行い,親水性の不純物の少なくとも一部を油から分離させて除去することを,当業者は当然に動機付けられるものといえる。
https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/471/090471_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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