令和1年(行ケ)10120【油冷式スクリュ圧縮機】<鶴岡>
*一般的課題
*阻害要因無し~阻害要因の『事実』立証失敗
「…迂回したとしても…コンプレツサ10が機能しなくなるとは認められない。また,このように構成を変更するとしても…液体パイプ接合の数が著しく増えるとする根拠はない。」
(判旨抜粋)
…当業者であれば,逆スラスト力(逆スラスト荷重状態)の発生という課題は…スクリュ圧縮機一般に生じることを認識することができるものと認められ,甲1発明…にも生じることを認識することができる…。このように,甲1発明についても,…そのような課題を解決するために,逆スラスト荷重解消のために非加圧の経路を設けるという動機付けも生じる…。そうすると,逆スラスト力(逆スラスト荷重状態)が発生するという技術的課題やその課題の解消について甲1に直接の言及がないとしても,そのような課題を解決するために甲1発明に非加圧の経路を設けるという動機付けが生じる…。
・・・
被告は,加圧ポンプ140や空所134を経由しない経路を設けると,スラストピストン室60に供給される液体がフイルタ146を迂回することになるので,異物…がスラストピストン室60に到達して詰まり等が生じることなどの不都合があり,ひいてはコンプレツサ10が機能不全に陥るとし,…阻害要因があると主張する…。しかし,スラストピストン室60に供給される液体がフイルタ146を迂回したとしても,圧縮機全体での液体の循環が繰り返される中で,大部分の異物はいずれはフイルタ146を通って除去されることになるし,必要であれば,ポンプの前にフイルタを経由するように構成を変更し,ポンプにより圧力を加えられる液体も,圧力を加えられない液体もフイルタを通過するようにするなどの対応を取ることもできるから,コンプレツサ10が機能しなくなるとは認められない。また,このように構成を変更するとしても,それによってコンプレツサ外部の液体パイプ接合の数が著しく増えるとする根拠はない。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/385/090385_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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