【論稿】著作権法における「公に」及び「公衆」概念の限界-幸福の科学祈願経文事件(平澤卓人、知的財産法政策学研究Vol.46(2015))
口述禁止権:『著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する。』(著作権法24条)
著作権法2条5項~「公衆」に特定多数が含まれる。
⇒録音された著作物の口述を再生する場合が多いが、本件(東京地判平成24年(ワ)24933)は、口述自体が問題となった。
本件では、Eから紹介を受けて被告を訪れた者に対する口述が「公に」なされたといえるかである。
⇒「当該著作物の利用が公衆に対するものであるか否かは,事前の人的結合関係の強弱に加え,著作物の種類・性質や利用態様等も考慮し,社会通念に従って判断するのが相当である。」
・5~6人であると認定し、「多数」でないとした。
・人数は任意の条件のもとに増減しない、金員は祈願の対価でない、読み上げの回数は多くても10回で、定期的、継続的でないから、「不特定」でないとした。
⇒結論として、「公に」要件を否定した。
※各事実認定は、原告の主張を斥ける文脈でもあり、「不特定」のあてはめとの関連性が曖昧である。
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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