【特許/職務発明】令和4年(ネ)10018<本多>
*『独占の利益』なし!! ⇒請求(控訴)棄却
「控訴人が主張するように、溶剤分別法が危険を伴い、時に重大な事故を引き起こし得るものであるとしても、…特許権に基づく禁止権の効果により、競合他社による本件乾式分別法の採用を排除し、これにより使用者として有する通常実施権に基づく実施によって得られる利益を超えた利益を得たと認めることは困難である。
なお、本件施設の稼働後、CBE市場における被控訴人のシェアが増加したのは、被控訴人が、規制緩和や経済動向をみて国際的なCBEの需要増加を見込み、FVOを拠点に生産施設を新設し、これが現実に稼働したことに伴う結果とみられ、本件乾式分別法を採用したことにより特にシェアを拡大できたことをうかがわせる事情はないというべきである。
以上を総合すると、被控訴人が、本件特許権A2につき有する通常実施権に基づいて本件発明A2を実施して得られる利益の額を超えて、特許による独占的、排他的な実施により超過して利益を得たと認めることはできない。したがって、被控訴人につき、本件発明A2による独占の利益は認められない。」
*子会社が実施していたことについて
「本件発明Aについては…被控訴人の子会社で…が…実施しているから、…被控訴人が受けるべき利益を検討するに当たっては、被控訴人グループの持株会社として経営管理事業を目的とする被控訴人が…自己実施している場合と同視して検討するのが相当である。」
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/793/092793_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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