2021年02月05日
-平成31年(ワ)第1409号「ウイルス」事件<佐藤裁判長>-
◆判決本文
【論点、最高裁判決の紹介】
1.特許請求の範囲
【請求項1】「ウイルスのBamHI x断片のBstEII-EcoNI断片内の欠失を含む,単純ヘルペスウイルス。」
2.論点~「先発」医薬品の承認のための試験・研究も、特許法69条1項の「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に該当するか否か
(1)特許法69条1項
「特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、及ばない。」
(2)最高裁判決(最判平成11年4月16日・平成10年(受)第153号、民集第53巻4号627頁)
⇒「後発」医薬品の承認のための試験・研究は、特許法69条1項の「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に該当する。
(判旨抜粋)「ある者が化学物質又はそれを有効成分とする医薬品についての特許権を有する場合において、第三者が、特許権の存続期間終了後に特許発明に係る医薬品と有効成分等を同じくする医薬品(以下「後発医薬品」という。)を製造して販売することを目的として、その製造につき薬事法一四条所定の承認申請をするため、特許権の存続期間中に、特許発明の技術的範囲に属する化学物質又は医薬品を生産し、これを使用して右申請書に添付すべき資料を得るのに必要な試験を行うことは、特許法六九条一項にいう「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たり、特許権の侵害とはならない…。」
(3)本判決(東京地裁平成31年(ワ)第1409号<佐藤裁判長>)
⇒「先発」医薬品の承認のための試験・研究も、特許法69条1項の「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に該当する。
(判旨抜粋)「本件治験の対象とされているT-VECは,…外国の医薬品規制当局の製造承認を受け,我が国でブリッジング試験を行っている先発医薬品であるが,以下のとおり,本件治験についても,平成11年最判の趣旨が妥当するものと解される。…先発医薬品等に当たるT-VECについても,後発医薬品と同様,その製造販売の承認を申請するためには,あらかじめ一定の期間をかけて所定の試験を行うことを要し,その試験のためには,本件発明の技術的範囲に属する医薬品等を生産し,使用する必要があるということができる。」
(4)本判決と同旨の裁判例紹介
・東京地裁平成8年(ワ)第8627号<高部裁判長>
⇒「先発」医薬品の承認のための試験・研究も、特許法69条1項の「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に該当する。
(判旨抜粋)「被告がコンセンサス・インターフェロンを使用して行っている臨床試験は、医薬品の有効性及び安全性の確保という極めて公益性の強い目的を有するものであり、従来の医薬品になかった新たな薬効があることを確認することにより医薬品分野の技術の進歩にも寄与するものであるということができ、特許法六九条一項の『試験又は研究のためにする特許発明の実施』に該当する…。…仮にコンセンサス・インターフェロンが本件発明の技術的範囲に属するとしても、被告が製造承認を取得後、現実にコンセンサス・インターフェロンの製造販売を開始する時期に参加人の本件特許権が存続期間満了により消滅している蓋然性もある本件において、未だ製造承認申請すらしていない現段階においては、侵害が発生するであろうことの具体的事実が存在すると認めるに足りず、したがって、未だ侵害予防請求権の発生の基礎をなす事実上及び法律上の関係が存在するとはいえない。よって、現段階において『侵害のおそれ』があると認めるに足りないものといわざるを得ない。」
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【判示事項(抜粋)~「先発」医薬品の承認のための試験・研究も、特許法69条1項に該当するか否かに関する判示部分】
第4 当裁判所の判断
1 争点1(本件治験が特許法69条1項の「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たるか)について
(1) 特許法69条1項は「試験又は研究のためにする特許発明の実施」について特許権の効力が及ばないと規定しているが,その趣旨は,特許法1条に規定された「発明の保護及び利用を図ることにより,発明を奨励し,もって産業の発達に寄与する」ためには,当該発明をした特許権者の利益を保護することが必要である一方,特許権の効力を試験又は研究のためにする特許発明の実施にまで及ぼすと,かえって産業の発達を損なう結果となることから,産業政策上の見地から,試験又は研究のためにする特許発明の実施には特許権の効力が及ばないこととし,もって,特許権者と一般公共の利益との調和を図ったものと解される。
本件治験が同項にいう「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たるかどうかは,特許法1条の目的,同法69条1項の上記立法趣旨,医薬品医療機器等法上の目的及び規律,本件治験の目的・内容,治験に係る医薬品等の性質,特許権の存続期間の延長制度との整合性なども考慮しつつ,保護すべき特許権者の利益と一般公共の利益との調整を図るという観点から決することが相当である。
(2) 前記第2の2(8)のとおり,平成11年最判は,後発医薬品について,第三者が,特許権の存続期間終了後に特許発明に係る医薬品と有効成分等を同じくする後発医薬品を製造して販売することを目的として,その製造につき薬事法(当時)14条所定の承認申請をするため,特許権の存続期間中に,特許発明の技術的範囲に属する化学物質又は医薬品を生産し,これを使用して同申請書に添付すべき資料を得るのに必要な試験を行うことは,特許法69条1項にいう「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たり,特許権の侵害とはならないと判示している。
本件治験の対象とされている T-VEC は,前記第2の2(5)のとおり,外国の医薬品規制当局の製造承認を受け,我が国でブリッジング試験を行っている先発医薬品であるが,以下のとおり,本件治験についても,平成11年最判の趣旨が妥当するものと解される。
ア 平成11年最判は,後発医薬品が特許法69条1項にいう「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たる理由として,後発医薬品についても,他の医薬品と同様,その製造の承認を申請するためには,あらかじめ一定の期間をかけて所定の試験を行うことを要し,その試験のためには,特許権者の特許発明の技術的範囲に属する化学物質ないし医薬品を生産し,使用する必要がある点を指摘する。
本件治験は,外国の医薬品規制当局の製造承認を受け,我が国でブリッジング試験を行うものであるが,証拠(乙15)によれば,ブリッジング試験とは,外国臨床データを新地域の住民集団に外挿するために新地域で実施される臨床試験であり,新地域における有効性,安全性及び用法・用量に関する臨床データ又は薬力学的データを得ることを目的として行われるものであって,同試験に当たり,一定の条件に適合する外国臨床データは医薬品の製造等承認申請書に添付される資料として受け入れられるものの,日本人における当該医薬品の有効性及び安全性の評価を行うため,原則として,国内で実施された臨床試験成績に関する資料を併せて提出することが必要であると認められる。
そして,本件治験は,T-VEC の「日本人被験者における安全性及び有効性を評価するための試験」(甲8の1・2頁「Official Title」欄)であり,修正版WHO応答基準を用いた DRR(持続性奏効率)によって評価されるT-VEC の抗腫瘍活性が主要評価項目となっているものと認められる(甲8の1・4頁「Primary Outcome Measures」欄の2)。このDRRとは,乙14の論文によれば,最初の12か月以内に開始する完全奏功(CR:腫瘍が完全に消失すること)及び部分奏功(PR:腫瘍が一定の割合以上小さくなること)が6か月連続して継続した割合として定義されるものであるから,T-VEC の製造販売の承認申請には,日本人被験者に T-VECを投与して,一定の期間をかけて臨床試験を行うことが必要となる。
そうすると,先発医薬品等に当たるT-VECについても,後発医薬品と同様,その製造販売の承認を申請するためには,あらかじめ一定の期間をかけて所定の試験を行うことを要し,その試験のためには,本件発明の技術的範囲に属する医薬品等を生産し,使用する必要があるということができる。
イ 平成11年最判は,特許権存続期間中に,特許発明の技術的範囲に属する化学物質ないし医薬品の生産等を行えないとすると,特許権の存続期間が終了した後も,なお相当の期間,第三者が当該発明を自由に利用し得ない結果となるが,この結果は,特許権の存続期間が終了した後は,何人でも自由にその発明を利用することができ,それによって社会一般が広く益されるようにするという特許制度の根幹に反するとしている。
T-VEC についても,前記判示のとおり,その製造販売の承認を申請するためには,あらかじめ一定の期間をかけて所定の試験を行うことを要するので,本件特許権の存続期間中に,本件発明の技術的範囲に属する医薬品の生産等を行えないとすると,特許権の存続期間が終了した後も,なお相当の期間,本件発明を自由に利用し得ない結果となるが,この結果が特許制度の根幹に反するものであることは,平成11年最判の判示するとおりである。
ウ 平成11年最判は,第三者が,特許権存続期間中に,薬事法(当時)に基づく製造承認申請のための試験に必要な範囲を超えて,同期間終了後に譲渡する後発医薬品を生産し,又はその成分とするため特許発明に係る化学物質を生産・使用することは,特許権を侵害するものとして許されないと判示する。
本件治験については,前記のとおり,医薬品医療機器等法の規定に基づいて第Ⅰ相臨床試験を行っているところであり,被告が,本件特許権の存続期間中に,本件特許権の存続期間満了後の譲渡等を見据え,同法に基づく製造販売承認のための試験に必要な範囲を超えてT-VEC を生産等し,又はそのおそれがあることをうかがわせる証拠は存在しない。
そうすると,特許権者である原告が本件特許権の存続期間中にその独占的実施により利益を得る機会は確保されるのであって,それにもかかわらず,本件特許権の存続期間中に T-VECの製造承認申請に必要な試験のための生産等をも排除し得るものと解すると,本件特許権の存続期間を相当期間延長するのと同様の結果となるが,それは,平成11年最判も判示するとおり,特許権者に付与すべき利益として特許法が想定するところを超えるものというべきである。
エ 以上のとおり,平成11年最判の趣旨は本件治験についても妥当するので,本件治験は,特許法69条1項の「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たる。
(3) 原告の主張について
ア 原告は,医薬品等の治験が特許法69条1項にいう「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に該当するためには,技術の進歩を目的とすることを要すると解した上で,本件治験は,欧米で既に承認されたT-VECを我が国で販売することを目的とするものにすぎないから,技術の進歩を目的とするものではないと主張する。
(ア) しかし,前記のとおり,特許法69条1項に該当するかどうかは,特許法の目的や医薬品医療機器等法による規律も考慮しつつ,特許権者と一般公共の利益との調和という観点から決すべきところ,一般公共の利益に資する「試験又は研究」には様々な目的,内容等のものが考えられることからすると,特許法69条1項の「試験又は研究」を必ずしも技術の進歩を目的とするものに限定すべき理由はなく,事案に応じてその目的や内容等を考慮しつつ,特許権者の利益との衡量をすれば足りるというべきである。
(イ) また,原告は,本件治験は,欧米で既に承認された T-VEC を我が国で販売することを目的とするものにすぎないと主張するが,前記判示のとおり,本件治験は,外国臨床データをそのまま受け入れ,新たな臨床試験を行うことなく我が国における製造販売の承認を得るためのものではなく,日本人被験者にT-VECを投与して,一定の期間をかけて臨床試験を行うことにより,日本人における有効性及び安全性を評価するための試験であると認められる。
そうすると,仮に,特許法69条1項にいう「試験又は研究」が技術の進歩を目的とするものであることを要するという解釈を採った場合であっても,本件治験は技術の進歩を目的とするものに該当し,同項にいう「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たるというべきである。
イ(ア) 原告は,本件治験は,特許権の存続期間内に治験薬の製造販売を開始することを目的として行うものであるので,特許法69条1項の「試験又は研究」には当たらないと主張する。
しかし,被告は、本件特許権の存続期間中にT-VEC を上市する予定はない旨主張するところ,前記のとおり,被告が,本件特許権の存続期間中に,医薬品医療機器等法に基づく製造販売承認のための試験に必要な範囲を超え,T-VEC を製造販売しようとしていることをうかがわせる証拠は存在しない。
(イ) また,原告はT-VECは本件特許権の存続期間中にその製造販売承認を取得し,その製造販売を開始することができる状況にあり,そのような場合には,本件特許権の存続期間中に製造販売を開始することを目的とするものとみなされる旨主張する。
しかし,特許権の存続期間中に第三者が当該特許発明の技術的範囲に属する医薬品等について製造販売承認を取得したとしても,必ずしも当該第三者が特許権の存続中に当該医薬品等を製造販売するとは限らず,存続期間満了後に製造販売することも十分にあり得るので,当該特許権の存続期間中に製造販売承認を取得することが客観的に可能であるとしても,そのことから,直ちに,当該医薬品等の治験をもって,特許権存続中の製造販売を目的とするものとみなすことはできない。
また,原告の主張を前提とすると,特許権の存続期間中に治験に係る医薬品等の製造販売承認を取得し,その製造販売を開始することが可能となる場合には特許権の侵害となり,治験開始後の予期し得ない事情により治験や承認手続が予定より長期化し,その製造販売の開始が当該特許権の存続期間満了後となる場合には特許を侵害しないこととなるが,そのような解釈は,予期し得ない事情により特許権侵害の成否が左右されることとなり,また,治験や承認手続が一定期間を要することを考えると,治験を行う第三者の地位を徒に不安定にするものであるというべきである。
ウ 原告は,バイオ医薬品は特許出願から製品化までに長期間を要し,中でも,遺伝子組換えがん治療ウイルスは製造販売承認を得て製品化される時期が当該特許権の存続期間終了間近とならざるを得ないので,発明者の開発と並行して他者が当該特許発明の類似品の開発(治験)を行うことができるとすると,革新的なバイオ医薬品の特許権者の利益が不合理なまでに毀損されると主張する。
しかし,前記第2の2(7)ウのとおり,再生医療等製品については,条件及び期限付承認の制度が設けられていることを除き,医薬品と概ね同様の規律が定められており,再生医療等製品についても優先審査が適用される上,先駆け審査指定制度の対象にもなり得ることを考えると,再生医療等製品の審査が長期化することが制度上予定されているということはできない。
また,第三者が特許権の存続期間内に発明の技術的範囲に属する再生医療等製品の治験を行うことができないとすると,当該第三者は,特許権の存続期間が終了した後に治験を開始しなければならないこととなり,製造販売の承認を得るまで長期にわたり本件発明を自由に利用し得ない結果となるが,これは,平成11年最判も判示するとおり,特許権の存続期間が終了した後は,何人でも自由にその発明を利用することができ,それによって社会一般が広く益されるという特許制度の根幹に反することとなる。
特許法は,特許発明の種類や技術的価値の大小等にかかわらず,一律に特許権存続期間を出願の日から20年と定めているのであり(特許法67条1項),再生医療等製品の承認審査に事実上長期間を要することがあるとしても,特許権の存続期間内にその特許発明に属する再生医療等製品の治験を行うことを禁止することにより,当該特許権の存続期間を相当期間延長するのと同様の結果をもたらすような解釈を採用することはできない。
エ 原告は,平成11年最判は,特許権者が特許権存続期間中の特許発明の独占的実施による利益を確保し得ることを前提としているところ,後発医薬品の場合と異なり,バイオ医薬品の場合には,特許権者が特許権存続期間中の特許発明の独占的実施による利益を確保することは困難であるので,同判決の射程外であると主張する。
(ア) 原告は,その根拠として,後発医薬品の場合には,再審査期間中に基礎研究や臨床試験を省略して製造販売承認を得ることはできないので,先発医薬品メーカーは,その間,事実上,独占的な利益を獲得することができるのに対し,バイオ医薬品(再生医療等製品)の場合はそのような事情が当てはまらないことを考慮すべきであると主張する。
しかし,後発医薬品の場合に,先発医薬品メーカーが新医薬品についての再審査期間中に独占的な利益を得ることができるとしても,それは,医薬品医療機器等法の規制による事実上の反射的利益にすぎず,平成11年最判においても,上記再審査期間中に特許権者が事実上独占的な利益を得ることができることは,特許法69条1項の適用の可否を判断するに当たっての考慮要因としては挙げられていない。
そうすると,再生医療等製品について特許権者が再審査期間中に事実上独占的な利益を得ることができないとしても,そのことは,特許法69条1項の「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たるかどうかの判断を左右しないというべきである。
(イ) 原告は,本件特許権の存続期間が延長されたとしても,延長された本件特許権の効力はT-VECには及ばない可能性が高く,そうすると,被告は,本件特許権の存続期間終了後,すぐに市場においてT-VECの製造販売をすることが可能となるが,これは被告を不当に利するものであると主張する。
この点,確かに,医薬品について,特許権の延長に係る特許発明の効力は,その延長登録の理由となった特許法67条第2項の政令で定める処分で定められた「成分,分量,用法,用量,効能及び効果」によって特定された「物」(医薬品)及びこれと医薬品として実質同一なものまでしか及ばないとされていることに照らすと(オキサリプラチン事件大合議判決参照),本件特許権の存続期間が延長された場合に,延長に係る特許権の効力が改変された遺伝子の範囲や適応症の異なる T-VECの実施行為に及ぶとは限らないということができる。
しかし,仮に,原告の主張するとおり,延長に係る本件特許権の効力がT-VEC には及ばないのであれば,むしろ,平成11年最判の判示するとおり,当該特許権の存続期間が終了した後は,何人でも自由にその発明を利用することができ,それによって社会一般が広く益されるようにすることが,特許制度の趣旨にかなうというべきである。
そうすると,被告が同特許権の存続期間の満了後直ちに T-VECを製造販売することができるとしても,それをもって,被告を不当に利するものということはできない。
(ウ) 原告は,本件において,G47Δも製造販売承認前であって,原告は市場において当該医薬品を独占的に製造販売することによる利益を全く獲得していないことを考慮すべきであると主張する。
しかし,医薬品等に係る特許権者が当該特許権の存続期間中にこれを実施し,現実に利益を得られるかどうかは,当該特許発明の内容や性質,医薬品医療機器等法上の承認の有無及び承認までの期間,当該医薬品の適応症,その市場規模,競合する医薬品等の有無などの事情によるのであり,特許法は,当該特許権の存続期間中に特許発明を独占的に実施し,それにより利益を得る機会を確保しているものの,特許権者が現実に利益を得ることを保障するものではない。
そうすると,本件において,原告が現実に利益を得ていないとしても,そのことは,本件治験が特許法69条1項の「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に該当するかどうかの結論を左右しないというべきである。
オ したがって,原告の上記各主張は,いずれも採用し得ない。
(4) 以上によれば,本件治験は,特許法69条1項の「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たるというべきである。
2 よって,その余の点につき判断するまでもなく,原告の請求は,いずれも理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
原告(特許権者):個人
被告(被疑侵害者):アムジェン株式会社
執筆:高石秀樹(弁護士・弁理士)(特許ニュース令和3年2月1日の原稿を追記・修正したものです。)
監修:吉田和彦(弁護士・弁理士)
本件に関するお問い合わせ先: h_takaishi@nakapat.gr.jp
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