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【改正民法(第6回)★★★】契約不適合責任-瑕疵担保責任から契約不適合責任へ―

2020年01月20日

(今回紹介する改正による変更点の概要)

改正後
買主の追完請求権 【実体要件】
引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき
※不適合について、買主の善意無過失を要求していないことに注意(瑕疵担保責任との相違点)
 
【手続要件】

①種類・品質の不適合の場合
不適合を知った日から1年以内に売主に対して通知
※ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかった場合は不要

②数量の不適合の場合
期間制限なし

【効果】
買主は、売主に対し、以下のいずれかの手段により履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

①目的物の修補
②代替物の引渡し
③不足分の引渡し

 
※不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は上記の履行の追完の請求をすることができない。

 

改正後
買主の代金減額請求権 【実体要件】

①引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき
②買主が相当の期間を定めて履行の追完を催告し、その期間内に履行の追完がないとき

※不適合について、買主の善意無過失を要求していないことに注意(瑕疵担保責任との相違点)
 
※ただし、以下のいずれかの場合は催告なしに直ちに代金の減額を請求することができる。

ⅰ 履行の追完が不能であるとき。
ⅱ 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
ⅲ 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
ⅳ 上記ⅰ~ⅲに掲げる場合のほか、買主が上記催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

 
【手続要件】

①種類・品質の不適合の場合
不適合を知った日から1年以内に売主に対して通知
※ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかった場合は不要

②数量の不適合の場合
期間制限なし

【効果】
買主は、売主に対し、不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
※不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は上記の代金減額請求をすることができない。

(契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)に関する改正事項)

今回は、契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)を取り扱う。今回の債権法改正の重要な点の1つであり、今まで法定責任説を前提に瑕疵担保責任と整理してきたところ、今回の改正により瑕疵担保責任を契約不適合責任として、債務不履行責任に一元化することとなった。この改正に伴い、契約不適合責任を追及する際の実体要件及び手続要件が、瑕疵担保責任における各要件から変更されることとなり、また、要件を充足した場合に買主が採りうる手段が増えることとなった。

本改正により、後述のとおり、各社における契約書のひな形における瑕疵担保責任に関する条項を修正する必要が生じる場合もあるものと考えられる。

(買主の追完請求権)

562条(買主の追完請求権)
1 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

(1)制度趣旨

従前、法定責任説を前提に瑕疵担保責任として整理されていた問題について、改正後民法においては、契約不適合責任として債務不履行責任に一元化した上で、従来の瑕疵担保責任の要件及び効果を変更した。なお、本改正に伴う主な変更点は以下のとおりである。

瑕疵担保責任(改正前) 契約不適合責任(改正後)
主観的要件の要否 「隠れた瑕疵」(善意無過失)である必要 不適合についての善意無過失は不要
無過失責任か否か 無過失責任 無過失責任
ただし、損害賠償請求については過失責任
責任の範囲 信頼利益に限定 履行利益まで請求可能
買主の救済手段 ・損害賠償請求権
・解除
・(他人物売買等の一定の場合に)代金減額請求権
・損害賠償請求権
・解除
・履行の追完請求権
・代金減額請求権

(2)制度内容

改正前民法においては、特定物の売買の目的物に瑕疵があった場合、買主がその修補や代替物の引渡しといった履行の追完の請求ができるか否かは、瑕疵担保責任の法的性質によるものとされていた(いわゆる法定責任説と契約責任説の対立)。しかし、種類物売買の重要性が高まってきたことや、例えば中古車売買のように特定物か種類物かの区別によって取り扱いを異にする合理性が乏しい場面が増えてきたことを踏まえ、本改正により、目的物が種類物か否かを問わず、買主が売主に対して履行の追完を請求することが可能となった。

改正後民法において追完請求権が発生するための実体要件は、「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」となる。この「契約の内容に適合しない」か否かを判断するにあたっては、契約の目的も参酌されることになると考えられることから、契約書においても、目的条項を設け、具体的に目的を特定しておくことも重要となろう。また、目的物の「種類」「品質」「数量」についても、契約書において可能な限り具体的に特定しておくことが望ましいといえよう。

なお、

①買主に不相当な負担を課するものでないときは、売主が、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができること(562条1項ただし書)

②契約の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは履行の追完の請求をすることができないこと(562条2項)

には留意されたい。

(買主の代金減額請求権)

563条(買主の代金減額請求権)
1 前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
一 履行の追完が不能であるとき。
二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。

三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。

四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

3 第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。

 

改正前民法においては、権利の一部移転不能や数量不足の場合(改正前民法563条、565条)に限り、代金減額請求権が認められていたが、改正後民法においては、これに限らず、契約不適合が認められ、かつ、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときには、買主の売主に対する代金減額請求権が発生するものとした。この代金減額請求権は、履行の追完が不能である場合や、債務不履行に基づく損害賠償について免責事由がある場合であっても行使できる点に意義があるものとされている。なお、代金減額請求権は形成権であり、訴訟外における買主の一方的な意思表示で効力が生ずることとなる。

(期間制限)

566条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。

 

改正前民法566条の「通知」については、裁判上の権利行使までは必要ないとされつつも、「具体的に瑕疵の内容」と「請求する損害額の算定根拠を示す」ことが求められていた(最判平成4年10月20日民集46巻1129頁)。

これに対し、本条は、権利保存の要件を売主に対する不適合の通知で足りるものとして法律関係の早期安定等を図りつつ、他方で、売主が契約不適合について悪意又は重過失であるときに期間制限を適用しないこととして、一定の範囲で買主の保護を図っている。

また、本条の期間制限と消滅時効の関係について、改正前民法においては、引渡後1年以内の通知を行った場合、その通知を行ったときが消滅時効の起算点となる旨の判断を示す判決もあり(大判昭和5年2月5日裁判例4民32)、改正後民法においても一定程度参考になるものと考えられる。

なお、本条は「種類又は品質」に関する不適合の場合に適用され、数量不足による不適合の場合には適用されないことに留意されたい。

 

(Keywords)契約不適合、瑕疵担保責任、追完請求権、民法改正
 

※本稿の内容は、一般的な情報を提供するものであり、法律上の助言を含みません。

 

文責:山本 飛翔(弁護士/第二東京弁護士会所属)
 

本件に関するお問い合わせ先: t_yamamoto@nakapat.gr.jp

 
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