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【商標法★】輪郭のないオレンジ色のみからなる色彩商標が、指定商品である油圧ショベルに長期間使用されていたとしても、商標法3条2項により自他商品識別力を獲得したものとはいえないと判断された事例

2020年07月30日

知財高判令和2年6月23日(令和元年(行ケ)第10147号)(髙部裁判長)

 

◆判決本文

 

【判決要旨】

 
1.商標法3条2項により自他商品識別力を獲得したかどうかは、商標が使用された期間及び地域、商品の販売数量及び営業規模、広告宣伝がされた期間及び規模等の使用の事情、当該商標やこれに類似した商標を採用した他の事業者の商品の存在、商品を識別し選択する際に当該商標が果たす役割の大きさ等を総合して判断すべきである。また、輪郭のない単一の色彩それ自体が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかを判断するに当たっては、指定商品を提供する事業者に対して、色彩の自由な使用を不当に制限することを避けるという公益にも配慮すべきである。
 
2.輪郭のないオレンジ色(マンセル値:0.5YR5.6/11.2)のみからなる下記色彩商標が、指定商品である油圧ショベルに長期間使用されていたとしても、下記①~④などの事情の下では、商標法3条2項により自他商品識別力を獲得したものとはいえない。

 
①建設現場等において一般的に採択される色彩であること。

②油圧ショベル及びこれと需要者が共通する建設機械や、油圧ショベルの用途とされる農機、林業用機械の分野において、上記商標に類似する色彩を使用する事業者が相当数存在していること。

③油圧ショベルなど建設機械の取引においては、製品の機能や信頼性が検討され、製品を選択し購入する際に車体色の色彩が果たす役割が大きいとはいえないこと。

④色彩の自由な使用を不当に制限することを避けるべき公益的要請もあること。

 

【コメント】

 
1.商標法3条2項における商標の使用による自他商品識別力の獲得の判断基準について、判決要旨1の第一文は、一般的な総合考慮説によったものである。そして、判決要旨1の第二文は、従前の裁判例(知財高判平19・3・29(平18(行ケ)10441号)〔お医者さんのひざベルト〕、知財高判平19・10・31(平19(行ケ)10050号)〔DB9〕、知財高判平20・3・27(平19(行ケ)10243号)〔AJ〕等)に沿って、特に輪郭のない単一の色彩のみからなる商標の場合に、他の事業者に対して色彩の自由な使用を不当に制限することを避けるという公益上の要請(独占適応性)にも配慮すべきことを示したものである。
 
2.判決要旨2は、判決要旨1を前提に、輪郭のないオレンジ色(マンセル値:0.5YR5.6/11.2)のみからなる色彩商標について、使用による自他商品識別力の獲得を否定したものである。この点、色彩のみからなる商標の登録例は、例えば下記が挙げられるものの、いずれも複数の色彩の組合せによるものであり,輪郭のない単一の色彩のみからなる商標は、判決要旨2によると、当該色彩が当該分野で珍しいものでない限り、商標法3条2項によっても登録が難しいものと思われる。

商標権者 商標登録番号 登録商標
株式会社トンボ鉛筆 第5930334号  

 

株式会社セブン-イレブン・ジャパン 第5933289号  

 

株式会社三井住友フィナンシャルグループ 第6021307号  

 

第6021308号  

 

三菱鉛筆株式会社 第6078470号  

 

第6078471号  

 

株式会社ファミリーマート 第6085064号  

 

ユーシーシー上島珈琲株式会社 第6201646号  

 

 

【判決の抜粋】

 
1.商標法3条2項の趣旨及び商標の使用による自他商品識別力の獲得の判断基準について

「(商標法3条2項)の趣旨は,特定人が当該商標をその業務に係る商品の自他識別標識として他人に使用されることなく永年独占排他的に継続使用した実績を有する場合には,当該商標は例外的に自他商品識別力を獲得したものということができる上に,当該商品の取引界において当該特定人の独占使用が事実上容認されている以上,他の事業者に対してその使用の機会を開放しておかなければならない公益上の要請は薄いということができるから,当該商標の登録を認めようというものと解される。

そして,使用により自他商品識別力を獲得したかどうかは,当該商標が使用された期間及び地域,商品の販売数量及び営業規模,広告宣伝がされた期間及び規模等の使用の事情,当該商標やこれに類似した商標を採用した他の事業者の商品の存在,商品を識別し選択する際に当該商標が果たす役割の大きさ等を総合して判断すべきである。また,輪郭のない単一の色彩それ自体が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかを判断するに当たっては,指定商品を提供する事業者に対して,色彩の自由な使用を不当に制限することを避けるという公益にも配慮すべきである。」
 
2.本願商標の使用による自他商品識別力の獲得の有無について

「原告は,本願商標の色彩を車体の少なくとも一部に使用した油圧ショベルを長期間にわたり相当程度販売するとともに,継続的に宣伝広告を行っており,本願商標の色彩は一定の認知度を有しているとはいえるものの,その使用や宣伝広告の態様に照らすなら,本願商標の色彩が,需要者において独立した出所識別標識として周知されているとまではいえない。そして,本願商標は,輪郭のない単一の色彩で,建設現場等において一般的に採択される色彩であること,油圧ショベル及びこれと需要者が共通する建設機械や,油圧ショベルの用途とされる農機,林業用機械の分野において,本願商標に類似する色彩を使用する原告以外の事業者が相当数存在していること,油圧ショベルなど建設機械の取引においては,製品の機能や信頼性が検討され,製品を選択し購入する際に車体色の色彩が果たす役割が大きいとはいえないこと,色彩の自由な使用を不当に制限することを避けるべき公益的要請もあること等も総合すれば,本願商標は,使用をされた結果自他商品識別力を獲得し,商標法3条2項により商標登録が認められるべきものとはいえない。」

 

【Keywords】商標法3条2項、使用による自他商品識別力の獲得、新しい商標、色彩商標、輪郭のない単一の色彩のみからなる商標、色彩の自由な使用、公益、独占適応性、日立建機

 

※本稿の内容は、一般的な情報を提供するものであり、法律上の助言を含みません。
 

文責:弁護士・弁理士 飯田 圭(第二東京弁護士会)

本件に関するお問い合わせ先:k_iida@nakapat.gr.jp

 
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