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【商標法★】指定商品を第25類「通気機能を備えた作業服・ワイシャツ・ブルゾン」とし,「空調服」の標準文字からなる本願商標は、商標法3条1項3号所定の「商品の…品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するが,同条2項所定の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品…であることを認識することができるもの」に該当するとして、商標登録をすることができないとした拒絶審決を取り消した事例

2021年06月23日

知財高判令和3年2月25日(令和2年(行ケ)第10084号)(森裁判長)

 

◆判決本文

 

【判決要旨】

1.商標法3条1項3号該当性について

本件審決時(令和2年4月30日),本願商標は,指定商品に使用されるときは,「通気機能を備えることにより,空気の温度等を調節する機能を有する服」と認識されるから,商品の品質を表示する標章に当たる。そして,本願商標は,「空調服」の標準文字のみからなり,普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に当たり,商標法3条1項3号に該当する。
 

2.商標法3条2項該当性について

「空調服」という商品やその「空調服」という名称は,本格的に発売が開始された平成17年当時,強い訴求力を有していたことに加えて,その後の約10年間,原告各社及びそのライセンシーによって,その商品(電動ファン(EF)付きウェア)分野の市場が独占されていたことや,特に,「空調服」が,原告らの商品を指すものとして全国紙を含む新聞,雑誌や全国放送の番組を含むテレビ番組で多数回にわたって取り上げられたこと,建設会社等の企業に導入されたことなどを踏まえると,平成27年頃までには,「空調服」は,その商品分野において,原告らの商品として,需要者,取引者に全国的に広く知られるに至っていたものと認められる。

そして,平成27年頃から他社が市場に参入した後も,①特に,「空調服」が原告商品を指すものとして,又は元祖が原告の「空調服」であるとして,全国紙を含む新聞,雑誌や全国放送の番組を含むテレビ番組で多数回にわたり取り上げられ,原告の「空調服」による広告もいろいろな形態で行われ,企業における「空調服」の導入例も拡大してきたことなどの事情,②「空調服」以外に一般的な用語が用いられていること,③他のメーカーは,「空調服」とは異なる商品名やブランド名で販売活動を行っていること,④多くの他業者の参入があっても,なお,平成30年及び令和元年(平成31年)で,原告各社及びそのライセンシーによる「空調服」は3分の1程度のシェアを占めていること,を考慮すると,「空調服」は,原告らの商品の出所を示すという機能を失うことなく,その認知度を高めていったものと認められる。

したがって,本件審決時(令和2年4月30日),本願商標は,使用をされた結果,指定商品の需要者が原告各社の業務に係る商品であることを認識することができるものであるから,商標法3条2項に該当する。

 

【コメント】

1.判決要旨1は、本願商標「空調服」を構成する「空調」及び「服」の各語の意味内容や結び付き方などから,本願商標が指定商品「通気機能を備えた作業服・ワイシャツ・ブルゾン」の「空気の温度等を調節する機能を有する」という品質を表示するものと認定判断して,その本来的識別性を否定したものである。
 

2.判決要旨2は、本願商標について,特に,審決取消訴訟段階で追加提出された多数の証拠に基づき,市場独占時の記述的使用態様やライセンス品への使用事実をも根拠として,かつ,具体的・客観的な売上高・広告宣伝費・その証拠を必須とせずに,市場独占終了時までにおける使用による識別性の獲得を一旦肯定したうえで,市場独占終了後における他の一般名称の使用,競合メーカーによる本願商標の不使用,相応の市場シェアの確保などを根拠として,審決時における使用により獲得された識別性の維持を肯定したものである。

 

【判決の抜粋】

1.商標法3条1項3号該当性について

「本件審決時である令和2年4月30日の時点において,本願商標である『空調服』は,本願指定商品である『通気機能を備えた作業服・ワイシャツ・ブルゾン』に使用されるときは,『通気機能を備えることにより,空気の温度等を調節する機能を有する服』と認識されるから,商品の品質を表示する標章に当たるということができる。

そして,本願商標は,『空調服』のみからなり,『空調服』の語を標準文字で記すという,普通に用いられる方法で表示する商標であるから,商標法3条1項3号に該当するというべきである。」
 

2.商標法3条2項該当性について

(1)「ア 原告商品『空調服』は,原告ら代表者の発案により原告セフト研究所が開発したもので,原告空調服が『空調服』の販売を本格的に開始した平成17年当時,『空調服』のほかにEFウェアは存在せず,『空調服』は,極めて独自性の強いものであった(前記1(2)イ)。そして,ファンが衣服に取り付けられているという『空調服』は,平成17年当時,他に例のない形態で,これを目にした者に強い印象を与えるものであったと解される。

また,前記2(1)で指摘したように,本願商標『空調服』の語の意味内容を,本来の字義から直ちに理解することには一定の困難があり,上記のように,EFウェアという商品分野がいまだ存在しなかった当時においては,『空調服』という語の構成も,強い独自性を有していたということができる。

そうすると,『空調服』という商品やその『空調服』という名称は,強い訴求力を有していたといえる。」

(2)「イ 上記アの事情に加えて,EFウェアという商品分野において,平成27年頃まで約10年間は,原告各社等によって市場は独占されていたこと(前記1(3)ア)及び前記1(2)イ~カで認定した諸事情,特に,『空調服』が原告らの商品を指すものとして,全国紙を含む新聞や雑誌で多数回にわたって取り上げられたこと,全国放送の番組を含むテレビ番組でも多数回にわたって同様に取り上げられたこと,建設会社等の企業に導入されたことなどを踏まえると,平成27年頃までには,『空調服』は,『通気機能を備えた作業服・ワイシャツ・ブルゾン』という商品分野において,原告らの商品として,需要者,取引者に全国的に広く知られるに至っていたものと認めるのが相当である。」

(3)「ウ その後,平成27年頃から他社がEFウェアの市場に参入するようになり(前記1(3)ア),新聞記事やネットショッピングサイト等においてEFウェアを示す語として『空調服』の語が用いられること(前記1(5)ア(イ))もあったが,原告商品『空調服』が上記のとおり広く知られていたために同種の商品を『空調服』と呼ぶ例が生じたと認められる。そして,①前記1(3)ア~クで認定した諸事情,特に,平成28年以降においても,『空調服』が原告商品を指すものとして,又はEFウェアの元祖が原告空調服の『空調服』であるとして,全国紙を含む新聞や雑誌で多数回にわたり取り上げられ,また,全国放送を含むテレビ番組等においても同様に取り上げられ,原告空調服による広告もいろいろな形態で行われ,企業における『空調服』の導入例も拡大してきたことなどの事情,②『空調服』以外にEFウェアを指す一般的な用語が用いられていること(前記1(5)ア(ア)),③EFウェアの他のメーカーにおいては,『空調服』とは異なる商品名やブランド名で販売活動を行っていること(前記1(5)イ),④多くの他業者の参入があっても,なお,平成30年及び令和元年(平成31年)の時点において,原告各社等による『空調服』はEFウェアの3分の1程度のシェアを占めていること(前記1(4)イ)を考慮すると,『空調服』は,原告らの商品の出所を示すという機能を失うことなく,その認知度を高めていったものと認めることができる。」

(4)「エ したがって,本件審決時である令和2年4月30日の時点において,本願商標『空調服』は,使用をされた結果,本願指定商品の需要者,取引者が,原告各社の業務に係る商品であることを認識することができるものであるから,商標法3条2項に該当するというべきである。」

(5)「なお,原告らは,本件審判請求の手続において提出していなかった証拠であっても,商標法3条1項3号及び同条2項に関する本件審決を取り消すべき事由があることを立証するために提出することができることは明らかであって,それが妨げられる理由はない。」

 

【Keywords】商標法3条1項3号,商品の品質の表示,普通に用いられる方法,本来的識別性,商標法3条2項,使用による識別性の獲得

 

※本稿の内容は、一般的な情報を提供するものであり、法律上の助言を含みません。

 

文責:弁護士・弁理士 飯田 圭(第二東京弁護士会)

本件に関するお問い合わせ先:k_iida@nakapat.gr.jp

 

 
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