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【商標法★】指定商品「ランプシェード」の立体的形状である本件商標は、商標法3条1項3号所定の「商品 … の形状 … を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するが、同条2項所定の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品 … であることを認識することができる」ものに該当し、また、同法4条1項18号所定の「商品 … が当然に備える特徴 … のみからなる商標」、同項7号所定の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」等に該当しないから、同法46条1項により無効とすることはできないとした審決を維持した事例

2019年12月24日

知財高判令和元年11月26日(令和元年(行ケ)第10086号)(大鷹裁判長)
 
◆判決本文

【判決要旨】

1.指定商品「ランプシェード」の立体的形状である本件商標は、商標法3条1項3号所定の「商品 … の形状 … を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当する。

  もっとも、その立体的形状は、被告による日本での本件商品の販売開始当時(1976年)、独自の特徴を有しており、その後、本件商品は、日本で長期間継続販売され、その間、そのデザインが優れており、被告が製造販売元であること等を印象付ける広告宣伝が継続して繰り返して行われた。その結果、その立体的形状は、本件商標の登録出願日(2013年12月13日)までに、被告が製造販売するランプシェードに係るものとして、照明器具、インテリアの取引業者及び照明器具、インテリアに関心のある一般消費者の間において自他商品識別性を獲得し、商標法3条2項所定の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品 … であることを認識することができる」ものに該当するに至った。
 

2.本件商標の立体的形状は、原告主張の「周辺の人の顔がはっきりと認識できる明るさを保ちつつ、光源のまぶしさによる不快感をほぼ完全に排除し、手元にも必要十分に明るくすることができるという機能」を発揮させるために不可欠な形状ではなく、商標法4条1項18号所定の「商品 … が当然に備える特徴 … のみからなる商標」に該当しない。
 

3.本件商品の立体的形状につき、①デザイナーの著作権が成立していたとしても、第三者の商標登録出願が禁止されるものではなく、②外国で商標登録されていないとしても、日本での商標登録が直ちに国際信義に反するものではなく、また、③被告が原告製の「照明用器具」の輸入差止め目的で本件商標の商標登録出願を行ったことは、指定商品を「ランプシェード」へ補正した出願経過を勘案しても、社会的相当性を欠くものではないことから、本件商標は、商標法4条1項7号所定の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当しない。

 

【コメント】

1.判決要旨1は、商品の立体的形状の本来的な識別性を否定する一方、当該立体的形状が、①独自の特徴と②長期間の継続的な使用、特にデザインと製造販売元を強調する宣伝広告とにより、使用での識別性を獲得したことを肯認したものであり、近年、かかる取扱いが、裁判例(知財高判平23・6・29判時2122号33頁〔Yチェア事件〕等)さらには商標登録出願実務上、増加し、定着してきている。
 

2.判決要旨2は、商品の機能を確保するために不可欠とまでは評価されない立体的形状であれば、商品の機能を追及する目的により選択されるものであっても、立体商標として登録される可能性を一律には否定しないものであり、裁判例(知財高判平19・6・27判時1984号3頁〔マグライト懐中電灯事件〕等)及び商標登録出願実務(商標審査基準〔改訂第14版〕第3の十六)上、一般的なものである。
 

3.判決要旨3は、商標審査基準(〔改訂第14版〕第3の六)に例示されている公序良俗違反の各種の類型及び該当例並びに商標審査便覧(42.107。特許庁ウェブサイト)でより詳細に説明されている各種の類型の取扱いや剽窃的出願の公序良俗違反該当性に係る近年の裁判例の否定的な傾向(知財高判平20・6・26判時2038号97頁〔CONMAR事件〕等)に照らして、相当と評価されよう。

 

【判決の抜粋】

1.「取消事由1(本件商標の商標法3条2項該当性の判断の誤り)」について

(1)「本件商標は、(下記)のとおり、上部に小さな凸部を有する5層構造のランプシェードの立体的形状からなり、上から1層目の円筒状の形状と2層目から5層目が組み合わさった4枚のシェードの形状から構成されたものであり、本件商標の指定商品『ランプシェード』の形状を普通に用いられる方法で表示したもののみからなる商標であるから、商標法3条1項3号に該当する。」

(写真は判決書19頁第1/6図より引用)

 
(2)「ヘニングセンがデザインした本件商品の立体的形状は、被告による本件商品の販売が日本で開始された1976年(昭和51年)当時、独自の特徴を有しており、しかも、本件商品が上記販売開始後本件商標の登録出願日(平成25年12月13日)までの約40年間の長期間にわたり日本国内において継続して販売され、この間本件商品は、ヘニングセンがデザインした世界のロングセラー商品であり、そのデザインが優れていること及び本件商品は被告(「ルイスポールセン社」)が製造販売元であることを印象づけるような広告宣伝が継続して繰り返し行われた結果、本件商標の登録出願時までには、本件商品が日本国内の広範囲にわたる照明器具、インテリアの取引業者及び照明器具、インテリアに関心のある一般消費者の間で被告が製造販売するランプシェードとして広く知られるようになり、本件商品の立体的形状は、周知著名となり、自他商品識別機能ないし自他商品識別力を獲得するに至ったものと認められる。

  そうすると、本件商品の立体的形状である本件商標が本件商品に長年使用された結果、本件商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時(登録審決日・平成27年12月15日)において、被告の業務に係る商品であることを表示するものとして、日本国内における需要者の間に広く認識されていたことが認められるから、本件商標は、商標法3条2項所定の『使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの』に該当するものと認められる。」
 

2.「取消事由2(本件商標の商標法4条1項18号該当性の判断の誤り)」について

(1)「原告主張の上記機能(筆者注:『周辺の人の顔がはっきりと認識できる明るさを保ちつつ、光源のまぶしさによる不快感をほぼ完全に排除し、手元にも必要十分に明るくすることができるという機能』のこと)を発揮するためのランプシェードの立体的形状は、シェードの枚数、形状、向き又はそれらの組合せなどにおいて本件商標の立体的形状以外にも様々な構成を採り得ることは明らかであるから、本件商標の立体的形状は、上記機能を発揮させるために不可欠な形状であると認めることはできない。」
 
(2)「以上によれば、本件商標が商標法4条1項18号に該当するものではないとした本件審決の判断に誤りはない」。
 

3.「取消事由3(本件商標の商標法4条1項7号該当性の判断の誤り)」について

(1)「仮にPH5の立体的形状について本件商標の登録出願日前にヘニングセンの著作権が成立していたとしても、商標法上、PH5の立体的形状についてヘニングセン以外の第三者が商標登録出願を行うことが禁止されるものではない」。

  「また、仮にPH5の立体的形状が外国で商標登録されていないとしても、外国で商標登録されていない立体的形状について、日本において商標登録出願をし、その商標登録を受けることが直ちに国際信義に反するものとはいえない」。

  「さらに、 … 本件商標の出願経過において、被告が指定商品を『ランプシェード』に補正した経過があること(甲15)を勘案しても、被告が原告の製造に係る『照明用器具』の商品等の輸入差止め等を行う目的で本件商標の商標登録出願を行ったことは、社会的相当性を欠くものとはいえない」。
 
(2)「以上によれば、本件商標が商標法4条1項7号に該当するものではないとした本件審決の判断に誤りはない」。

 

【Keywords】ランプシェード、立体的形状、商標法3条1項3号、本来的な識別性、商標法3条2項、使用による識別性、商標法4条1項18号、機能を発揮させるために不可欠な形状、商標法4条1項7号、公序良俗を害するおそれ、ポール・ヘニングセン、PH5

 

※本稿の内容は、一般的な情報を提供するものであり、法律上の助言を含みません

 

文責:弁護士・弁理士 飯田 圭(第二東京弁護士会)

本件に関するお問い合わせ先:k_iida@nakapat.gr.jp

 
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