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【商標法★】ハサウェイとマッキンレーが開発した質問紙法検査に基づいて性格傾向を把握する心理検査である「Minnesota Multiphasic Personality Inventory」又はその略称を表すものであることが需要者間に広く認識されていた「MMPI」の文字部分を含む被告各標章は,「MMPI」の商標に係る本件商標の指定役務である「心理検査」の「質」等を「普通に用いられる方法」で表示する商標に該当するから,商標法26条1項3号が適用され,本件商標権の効力が及ばないとされた事例

2021年01月07日

知財高判令和2年6月24日(令和元年(ネ)第10069号)(大鷹裁判長)

 

◆判決本文

 

【判決要旨】

1.MMPIの表示についての需要者の認識について

本件商標の指定役務「心理検査」の需要者は,保健医療,福祉,教育等の機関において,心理検査を実施する業務に携わる医師,公認心理師,臨床心理士,公務員の心理職等や研究者であることが認められる。

そして,上記需要者の間では,「MMPI」の表示は,ハサウェイとマッキンレーが開発した質問紙法検査に基づいて性格傾向を把握する心理検査である「Minnesota Multiphasic Personality Inventory」(本件心理検査)又はその略称を表すものであることが広く認識されていたことが認められる。
 
2.被告各標章の商標法26条1項3号該当性について

役務の「質」等を普通に用いられる方法で表示する商標には商標権の効力が及ばない旨を規定している商標法26条1項3号の趣旨は,役務の「質」等の表示が需要者に示されないと取引が円滑に行われないことから,円滑な取引の要請と商標権者の利益の調整を図るため,取引上一般に用いられている方法で,これらの表示を自由に使用することを保障したことにあるものと解される。

そして,MMPIの表示についての需要者の前記認識,ハイフン記号と数字を組み合わせてバージョンを示すことが一般的に行われていることを踏まえると,「MMPI-1」の部分と「性格検査」,「回答用紙」又は「自動診断システム」の部分とを結合した標章である被告各標章に接した需要者は,被告各標章における「MMPI」の文字部分を本件心理検査を示したものと認識するものと認められるから,「MMPI」の文字部分は,心理検査の内容を示したものと認められる。そして,商標法26条1項3号の役務の「質」には役務の内容が含まれるから,被告各標章における「MMPI」の文字部分は,本件商標の指定役務である「心理検査」の「質」を示したものと認められる。

次に,被告各商品等における被告各標章の下記表示態様によれば,被告各標章における「MMPI」の文字部分は,いずれも,その文字の大きさ,フォント及び表示位置等に顕著な特徴があるとはいえず,取引上一般に用いられている方法で表示したものと認められるから,本件商標の指定役務「心理検査」の質を「普通に用いられる方法」で表示したものと認められる。

①

②

③

④

⑤

以上によれば,「MMPI」の文字部分を含む被告各標章は,本件商標の指定役務である「心理検査」の「質」等を「普通に用いられる方法」で表示する商標に該当するから,商標法26条1項3号が適用され,本件商標権の効力が及ばない。

 

【コメント】

1.判決要旨1は,本件商標に係る「MMPI」の文字部分を含む被告各標章の商標法26条1項3号該当性の認定判断の前提として,本件商標の指定役務「心理検査」の需要者を認定したうえ,当該需要者が「MMPI」の表示を如何に認識するかを認定判断したものである。
 
2.判決要旨2は,判決要旨1を前提に,被告各標章における「MMPI」の文字部分が「役務」の「質」等を「普通に用いられる方法」で表示する商標に該当することを肯認し,ひいては当該部分を含む被告各標章の商標法26条1項3号該当性を肯認したものである。

 

【判決の抜粋】

1.MMPIの表示についての需要者の認識について

「本件商標の指定役務『心理検査』の需要者は,保健医療,福祉,教育等の機関において,心理検査を実施する業務に携わる医師,公認心理師,臨床心理士,公務員の心理職等や研究者であることが認められる。

……被控訴人が被告各商品の販売及び被告サービスの提供を開始した平成29年4月1日当時において,上記需要者の間では,『MMPI』の表示は,ハサウェイとマッキンレーが開発した質問紙法検査に基づいて性格傾向を把握する心理検査である『Minnesota Multiphasic Personality Inventory』(ミネソタ多面的人格目録)(本件心理検査)又はその略称を表すものであることが広く認識されていたことが認められる。」
 
2.被告各標章の商標法26条1項3号該当性について

「(商標)法26条1項3号は,役務の普通名称,提供の場所,質等又は当該役務に類似する商品の普通名称,産地,販売地,品質等を普通に用いられる方法で表示する商標については,商標権の効力は及ばない旨規定している。

同号の趣旨は,役務の普通名称,提供の場所,質等の表示が需要者に示されないと取引が円滑に行われないことから,円滑な取引の要請と商標権者の利益の調整を図るため,取引上一般に用いられている方法で,これらの表示を自由に使用することを保障したことにあるものと解される。

以上を前提に,被告各標章の法26条3号該当性について判断する。」

「被告各標章は,『MMPI-1』の部分と『性格検査』,『回答用紙』又は『自動診断システム』の部分とを結合した標章である。

平成29年4月1日当時において,需要者の間で,『MMPI』の表示は,ハサウェイとマッキンレーが開発した心理検査である『Minnesota Multiphasic Personality Inventory』(ミネソタ多面的人格目録)(本件心理検査)又はその略称を表すものであることが広く認識されていたこと(前記⑵ア),ハイフン記号と数字を組み合わせてバージョンを示すことが一般的に行われていること(甲4,87,乙5)を踏まえると,……被告各標章に接した需要者は,被告各標章における『MMPI』の文字部分をハサウェイとマッキンレーが開発した本件心理検査を示したものと認識するものと認められるから,『MMPI』の文字部分は,心理検査の内容を示したものと認められる。

そして,法26条1項3号の役務の『質』には役務の『内容』が含まれるから,被告各標章における『MMPI』の文字部分は,本件商標の指定役務である『心理検査』の質を示したものと認められる。

次に,前記ア認定の被告各商品及び被告広告における被告各標章の表示態様によれば,被告各標章における『MMPI』の文字部分は,いずれも,その文字の大きさ,フォント及び表示位置等に顕著な特徴があるとはいえず,取引上一般に用いられている方法で表示したものと認められるから,本件商標の指定役務『心理検査』の質を『普通に用いられる方法』で表示したものと認められる。」

「以上によれば,『MMPI』の文字部分を含む被告各標章は,本件商標の指定役務『心理検査』の『質』又は当該指定役務に類似する商品の『品質』を『普通に用いられる方法』で表示する商標に該当するものと認められるから,法26条1項3号に該当する。」

 

【Keywords】商標法26条1項3号,商標権の効力が及ばない範囲,役務の内容の表示,役務の質の表示,役務に類似する商品の品質の表示,普通に用いられる方法,商標的使用

 

※本稿の内容は、一般的な情報を提供するものであり、法律上の助言を含みません。

 

文責:弁護士・弁理士 飯田 圭(第二東京弁護士会)

本件に関するお問い合わせ先:k_iida@nakapat.gr.jp

 

 

 
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