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【商標法★】「BULLPULU TAPIOCA」の文字と図柄から成り,第29類「タピオカ入りの乳製品」等を指定商品等とする被告保有の登録商標は,「STARBUCKS COFFEE」の文字と図柄から成り,第30類「コーヒー飲料」等を指定商品等とする原告保有の登録商標と類似しないため,商標法4条1項11号に該当せず,また,原告の業務に係る商品・役務と混同を生ずるおそれのある商標ではないため,商標法4条1項15号に該当しない,と判断して,原告請求の無効審判における棄却審決を維持した事例

2021年03月26日

知財高判令和2年9月16日(令和元年(行ケ)第10170号)(大鷹裁判長)

 

◆判決本文

 

【判決要旨】

1.商標法4条1項11号該当性について

下記引用商標が,平成23年3月末当時において原告の業務に係る商品及び役務を表示するものとして著名であり,その構成中の円環部分は全体として需要者に対して強い印象を与えるものであったことは認められる。しかしながら,このことと,下記本件標章を見て原告を想起する者の割合が高いことを調査したインターネット・アンケート調査の結果とから,下記引用商標の構成中の緑色の二重の円環並びに内側の円環の帯状部分に白抜きの文字及び図形を配した構成部分(「本件緑色円環配置構成」)が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,原告の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

 

【引用商標:判決書別紙2より引用】

 

【本件標章:判決書別紙3より引用】

 

そして,下記本件商標及び引用商標の各構成中の「BULLPULU」及び「STARBUCKS」の各文字部分を要部として抽出・比較して商標そのものの類否を判断することも許されるところ,上記各文字部分は,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相違するものである。そうすると,本件商標と引用商標は,本件商標の指定商品又は指定役務に使用されたとしても,その商品又は役務の出所の誤認混同が生ずるおそれがあるものと認められないから,全体として類似していると認めることはできない。

 

【本件商標:判決書別紙1より引用】

 

2.商標法4条1項15号該当性について

①引用商標における本件緑色円環配置構成は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,原告の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないこと,並びに,②本件商標及び引用商標の各要部である『BULLPULU』及び『STARBUCKS』の各文字部分は,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相違するものであり,本件商標と引用商標は,本件商標の指定商品又は指定役務に使用されたとしても,その商品又は役務の出所の誤認混同が生ずるおそれがあるものと認められず,全体として類似していると認めることはできないことに照らすと,本件商標がその指定商品又は役務に使用された場合,需要者において,本件緑色円環配置構成に着目し,引用商標が連想され,原告の業務に係る商品又は役務,原告と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように,その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認めることはできない。

 

【コメント】

1.判決要旨1は,結合商標の類否判断に関する判例(最判平5・9・10民集47巻7号5009頁〔セイコーアイ事件〕,最判平20・9・8裁判集民228号561頁〔つつみのおひなっこや事件〕等)を前提に,引用商標中の本件緑色円環配置構成部分の周知性・著名性を,原告実施・提出のアンケート調査の結果を調査方法が不適切であることを理由に排斥しつつ,否定したうえで,結合商標の分離観察・要部観察により,本件商標及び引用商標の各要部として「BULLPULU」及び「STARBUCKS」の各文字部分を抽出・比較して,本件商標と引用商標の類似性を否定し,商標法4条1項11号該当性を否定したものである。
 

2.判決要旨2は,混同を生ずるおそれの意義について狭義の混同のみならず広義の混同をも含むものとする判例(最判平12・7・11民集54巻6号1848頁〔L’AIR DUTEMPS事件〕等)を前提に,引用商標中の本件緑色円環配置構成部分の周知性・著名性が否定されること,並びに,本件商標と引用商標の類似性が否定されることから,狭義の混同は勿論,広義の混同を生ずるおそれもないと認定判断し,商標法4条1項15号該当性を否定したものである。

 

【判決の抜粋】

1.商標法4条1項11号該当性について

(1)「引用商標は,平成23年3月末当時において,原告の業務に係る商品及び役務(コーヒー,ココア,乳製品,菓子等及びこれら商品の提供。以下同じ。)を表示するものとして,日本国内において,需要者である一般消費者の間で広く認識されており,その認識の程度は著名に至っており,引用商標は著名であったことが認められる。

しかるところ,①引用商標の構成中の本件円環部分と本件図形部分とは分離観察し得るものであること,②本件円環部分のうち,緑色の太い帯状の円環内に白抜きで表された『STARBUCKS』及び『COFFEE』の文字部分全体から『スターバックスコーヒー』の称呼が生じ,また,本件円環部分は外側の緑色の細い円環と内側の白色の細い円環とによって全体の領域が明確に画されており,本件円環部分の外観は全体として記憶に残りやすいものと認められることからすると,引用商標の構成中の本件円環部分は全体として需要者に対して強い印象を与えるものといえる。

しかしながら,他方で,原告が主張する引用商標における本件緑色円環配置構成は,引用商標中の具体的な構成部分そのものではなく,本件円環部分から抽出した上位概念化した要素としての構成及び配置の態様をいうものであり,緑色の帯状の円環内における白抜きの文字が『STARBUCKS』及び『COFFEE』の文字とは異なる文字である場合や白抜きの図形が星印以外の図形であっても,本件緑色円環配置構成に含まれることになるが,引用商標に接した需要者において,このような上位概念化した要素としての構成及び配置の態様をイメージし,それが記憶に残るものと認めることは困難である。」

「そうすると,引用商標が平成23年3月末当時に著名であったからといってそのことから直ちに引用商標における本件緑色円環配置構成が原告の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

ましてや,上記時点から約4年後の本件商標の登録出願時(登録出願日平成28年3月9日)及び登録査定時(登録査定日同年11月1日)において,本件緑色円環配置構成が原告の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。」
 

(2)「原告は,・・・本件アンケート調査の結果は,上記各時点における本件緑色円環配置構成の周知著名性を示すものである旨主張する」が,「本件標章に接した需要者が視覚によって認識し,又は想起することができない内容を文章によって誘導する」説明が質問に付された「本件アンケート調査は,本件緑色円環配置構成の認識度ひいては著名性を調査することを目的とする調査方法として適切であると認めることはできない。」
 

(3)「本件商標は,その構成中,緑色の太い帯状の円環内の『BULLPULU』及び『TAPIOCA』の文字部分が,他の構成部分から分離して観察され得るものであり,上記文字部分全体に相応して,『ブルプルタピオカ』の称呼を生じるほか,『BULLPULU』の文字に相応して『ブルプル」の称呼をも生じる。

また,『BULLPULU』の文字部分は,辞書等に載録がない語であって,さらに,『TAPIOCA』の文字は,『タピオカ』(カッサバの根から製した食用・糊用の澱粉)の意味を有する我が国でも親しまれた語であり,本件商標の指定商品及び指定役務との関係において,商品の品質及び役務の質を表し,自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を有しないか,極めて弱いといえるものであり,『BULLPULU』の文字部分が独立して自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得ると認めるのが相当である。

そうすると,本件商標の構成中の『BULLPULU』の文字部分を要部として抽出し,これと引用商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。」

他方,「引用商標は,その構成中,本件円環部分のうちの緑色の太い帯状の円環内の『STARBUCKS』及び『COFFEE』の文字部分が,他の構成部分から分離して観察され得るものであり,上記文字部分全体に相応して,『スターバックスコーヒー』の称呼を生じるほか,『STARBUCKS』の文字に相応して『スターバックス』の称呼をも生じ,また,『(原告のブランド名としての)スターバックスコーヒー』の観念を生じる。

そして,『STARBUCKS』の文字部分は,辞書等に記載がない語であるのに対し,『COFFEE』の文字は,『コーヒー』の意味を有する我が国でも特に親しまれた語であり,引用商標の指定商品及び指定役務の一部については,商品の品質及び役務の質を表し,自他商品及び自他役務の識別標識としての機能がないか,極めて弱いといえるものであるから,『STARBUCKS』の文字部分が独立して自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たしていると認めるのが相当である。

そうすると,引用商標の構成中の『STARBUCKS』の文字部分を要部として抽出し,これと本件商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。」

そこで,「本件商標の要部である『BULLPULU』の文字部分と引用商標の要部である『STARBUCKS』の文字部分とを対比するに,前記・・・認定事実に照らすと,上記各文字部分は,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相違するものである。

そうすると,本件商標と引用商標が本件商標の指定商品又は指定役務に使用されたとしても,その商品又は役務の出所の誤認混同が生ずるおそれがあるものと認められないから,本件商標と引用商標は,全体として類似していると認めることはできない。」

 

2.商標法4条1項15号該当性について

「①前記・・・のとおり,引用商標における本件緑色円環配置構成は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,原告の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないこと,②前記・・・で説示したとおり,本件商標の要部である『BULLPULU』の文字部分と引用商標の要部である『STARBUCKS』の文字部分は,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相違するものであり,本件商標と引用商標が本件商標の指定商品又は指定役務に使用されたとしても,その商品又は役務の出所の誤認混同が生ずるおそれがあるものと認められず,本件商標と引用商標は,全体として類似していると認めることはできないことに照らすと,本件商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合,需要者において,本件緑色円環配置構成に着目し,引用商標が連想され,原告の業務に係る商品又は役務,原告と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように,その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認めることはできない。」

 

【Keywords】商標法4条1項11号,結合商標の類否,アンケート調査,結合商標の構成部分の周知性・著名性,結合商標の分離観察,結合商標の要部観察,結合商標の要部抽出,商標法4条1項15号,混同を生ずるおそれ,狭義の混同,広義の混同,BULLPULU,STARBUCKS

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。

 

文責:弁護士・弁理士 飯田 圭(第二東京弁護士会)

本件に関するお問い合わせ先:k_iida@nakapat.gr.jp

 
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