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【商標★★】「BELLO」事件(自己の著名キャラクターと併用することにより、当該著名キャラクターに出所識別機能が認められ、被告標章には出所識別機能が認められないから、被告商標は商標法26条1項6号に定める商標に該当するとして、商標権侵害不成立とした事例)

2019年07月23日

大阪地判平成29年(ワ)第6906号 平成30年11月5日判決(高松裁判長)

 

◆判決本文


【本稿の概要】

原告商標1は「BELLO」の文字、原告商標2は「BELLO」を筆記体表記したものであった。

登録日は、原告商標1が平成22年、原告商標2が平成20年であった。

 

被告(USJ)各標章も、「BELLO」の文字及びこれを若干ロゴ化したものであった。

被告が被告各商標の使用を開始したのは、平成26年11月頃であった。

   

本判決は、以下のように判示して、要するに、USJのオンラインストア以外のオンラインストア等で販売された被告各商品についても、需要者は被告(USJ)の著名キャラクターを識別して購入することから、当該著名キャラクターに出所識別機能が認められるのであって、原告商標の使用は商標的使用でないとして、商標法26条1項6号該当性を認め、商標権侵害不成立とした。

関連裁判例を以下に紹介するとおり、商標権者以外の著名表示(商標、キャラクター等)と登録商標とを併用した場合、当該著名表示にのみ出所識別機能が認められるとして、商標権侵害を否定した裁判例は多い。

この意味で、商標権は、出願・登録した後も、使用により信頼が蓄積することで、出所識別機能を果たす強い商標権になっていくものであるが、他方、登録商標がより著名な他人の表示と併用されると、商標的使用でないとして商標法26条1項6号により商標権侵害不成立となってしまうこともある。営業上の信用を化体する標識を保護する標識法である商標法は、出願後の商標権者及び他人の活動により権利の強弱が変わってくるという点において、人間の精神的創作活動の成果を保護する創作法である特許権、意匠権、著作権等とは異なる。

 

【判決文の抜粋(下線部は筆者が附した。)】

「被告各商品に接した需要者が,被告各標章を「需要者が何人かの業務に係る商品…であることを認識できる態様により使用されていない商標」(商標法26条1項6号)と認識するか否かは,ミニオンの図柄や被告各標章が服飾品のデザインとしての性質を有することを前提にしつつ,更に被告各標章の使用態様や取引の実情等を総合考慮して検討する必要がある。」

「被告各商品は主としてUSJのパーク内及び近隣の直営店舗で公式グッズとして販売されているところ,USJを訪れる需要者が上記のような関心を有することに加え,パーク内のキャラクターとしてミニオンが導入されていることからすると,需要者にとっては,ミニオンが,USJ(被告)が擁するキャラクターであり,被告各商品は,そのUSJ(被告)がパーク内と近隣で運営する店舗で販売している公式のキャラクターグッズであるということをもって,他の商品との出所の識別としては十分であり,それ以上に被告各商品の出所の識別を意識する動機に乏しいと考えられる。」

「被告各標章や『BELLO!』が,広くミニオンのキャラクターとセットで使用されていることからすると,パーク内及び近隣の直営店舗を訪れた需要者は,被告各標章や『BELLO!』をもって,少なくとも周知のミニオンのキャラクターと何かしら関連性を有する語ないしフレーズとして認識すると考えられる」

「需要者は,被告各標章をもって少なくともミニオンのキャラクターと関連する何らかの語ないしフレーズとして認識し,被告各商品の出所については,それがUSJ(被告)の直営店舗で販売されるミニオンのキャラクターの公式グッズであることや,被告各商品にも一般に商品の出所が表示される部位である商品のタグやパッケージに本件被告ロゴが表示されていることによって識別すると認めるのが相当である。」

「もっとも,本件各商標が周知なものであれば,需要者は,それを既知の出所表示として認識しているから,被告各標章が周知のミニオンの図柄と共に表示され,上記のような状況で販売される場合でも,被告各標章を出所表示として認識することになると考えられる。…しかし、本件各商標が被告各商品の需要者の間で周知性を有するとは認められないから,その既知性に基づいて被告各商品の需要者が被告各標章を出所表示として認識するとはいえない。」

「USJのオンラインストアで被告各商品が販売される局面でも,被告各商品に接した需要者は,それがUSJの公式のキャラクターグッズであるという以上に商品の出所の識別を意識する動機に乏しいと考えられ,また,同ストアには多数の公式キャラクターグッズが掲載されているのであるから,やはり,需要者が,商品の写真に写っている被告各標章をミニオンの図柄とは関連のないものとして,それによって被告各商品の出所を識別するとは考え難いというべきである。」

「被告各商品は,USJのオンラインストア以外のオンラインストア等で第三者により販売されることもあるが、…アマゾンでの販売では,商品が『USJ 公式限定 商品 《ミニオン キッズ キャップ》ミニオン グッズ』と記載され,フリルでの販売でも,商品が『ハロウィン 子供 ミニオン ミニオンズ ハットキャップ 子供 帽子 USJ』と記載され,いずれも出所がUSJであるミニオンのキャラクターグッズであると明記されている一方,それらの商品の写真に写っている『BELLO!』ないし『bello!』について言及する記載はない。そして,被告各商品のような公式グッズは,被告ないしUSJを出所とする公式グッズとしての独自の価値があることからすると,第三者が被告各商品を販売するに当たり,これらと異なり,被告各商品の出所が被告ないしUSJであることを明記しないとは考え難い。これらからすると,USJのオンラインストア以外のオンラインストア等で被告各商品に接した需要者は,USJが自前のミニオンというキャラクターを用いた商品として,その出所をその表記によって識別すると考えられ,被告各標章をミニオンの図柄とは関連のないものとして,それによって被告各商品の出所を識別するとは考え難いというべきである。」

「以上からすると,証拠により示されたこれまでの取引の実情に基づく限り,被告各商品が販売されているいずれの局面においても,被告各標章が出所表示として機能していないから,被告各標章は,『需要者が何人かの業務に係る商品…であることを認識することができる態様により使用されていない』(商標法26条1項6号)と認められる。また,将来の被告各標章の使用についても,取引の実情の変化の有無やその態様が明らかではないから,将来における取引の実情の変化を前提とする判断をすることはできない。」

 

【関連裁判例の紹介~自己の著名表示(商標、キャラクター等)と併用することにより、商標的使用でないと判断された事例】

【平成30年11月5日大阪地裁判決】(平29(ワ)6906号)

商標権者:P1
 
 登録商標: BELLO
 
被告:合同会社ユー・エス・ジェイ  被告標章:  など

 

(事案と判示内容)

本件原告商標が、被告商品の需要者の間で周知性を有するとは認められない。ミニオンは一般的に高い周知性を有するキャラクターであると推認され、需要者は被告商品がミニオンのキャラクターグッズである点に着目して購入すると考えられる(ミニオン語BELLO!の周知性は否定)。被告商品には,被告ないしUSJを出所とする公式グッズとしての独自の価値があることから,その出所が被告ないしUSJであることを明記しないで販売されることは考え難い。需要者は、USJのミニオンというキャラクターを用いた商品であるとしてその表記によって識別すると考えられ、それ以上に被告商品の出所の識別を意識する動機が乏しく、被告標章をミニオンの図柄とは関係のないものとして、それによって被告商品の出所を識別するとは考え難い。被告標章は出所表示として機能していないから、「需要者が何人かの業務に係る商品…であることを認識することができる態様により使用されていない」として商標権侵害を否定。

 

【平成24年9月6日東京地裁判決】(平23(ワ)23260号)

商標権者:㈱ブランク
 
 登録商標:
 

 

被告:㈱ピート  被告標章:  

 

(事案と判示内容)

「SURF’S UP」は原告の造語ではなく、サーフィン関連の言葉としてありふれた表現。原告の商標として需要者に周知又は著名であると認めるに足りる証拠もないから、それ自体が有する出所識別力はもともと弱い。

被告「GOTCHA」や各被告商標は、サーフィン愛好家、10代から20代の若者の間において相当程度周知性を有すると推認され、被告商品は直営店のみで「GOTCHA」と明示される態様で販売されているから、被告商品に接した需要者は「SURF’S UP」ではなく、むしろ「GOTCHA」によって出所を識別する。

「SURF’S UP」の表示は、商品の出所識別機能を果たす態様で使用されていると認めることはできないから、被告標章の使用は本来の商標としての使用に当たらないとして、商標権侵害を否定。

 

【平成23年3月28日知財高裁判決】(平22(ネ)10084号)

商標権者:西川産業㈱
 
 登録商標:
 

 

被告:テンピュール・ジャパン(有)  被告標章:  

 

(事案と判示内容)

被告商標「テンピュール」は被告が販売する商品の商標として著名となっていたこと等からすると、被告商品の包装箱に接した取引者、需要者はテンピュールの表示をもって被告の出所表示であると認識する。

「ドーナツクッション」の語を付した多数の商品が存在し、一般需要者に特定の出所を表する標記であるとは認識されていない。一般消費者にも、ウェブサイトの書き込みで「ドーナツクッション」は特定の形状を有するクッションの意味で使用されている。「商品の形状等を表す語」と「商品の種類を表す語」との組み合わせにより商品を分かり易く表示することは一般に行われている。被告標章の出所識別力は極めて弱い。

被告包装箱に接した一般消費者は、被告標章について商品の出所を表示機能・出所識別機能を果たす態様で用いられているものと認めることはできず、包装箱における被告標章の費用は商標としての使用(商標的使用)に当たらないとして、商標権侵害を否定。

 

【平成22年10月21日東京地裁判決】(平21(ワ)25783号)

商標権者:西川産業㈱
 
 登録商標:
 

 

被告:テンピュール・ジャパン(有)  被告標章:  

 

(事案と判示内容)

被告商品の包装箱のテンピュール商標、説明文中の「テンピュール🄬」の表示は、被告商品が被告の販売する商品であることを識別させるために使用されている。被告包装箱の表示態様からすれば、被告商品の包装箱に接した一般消費者においては、被告標章は被告商品の本体の形状を示すイメージ図及び説明文と相俟って、クッションの形状を表すために用いられたと認識し、商品の出所を想起するものではない。被告標章は、包装箱において商品の出所表示機能を果たす態様で用いられているものと認めることはできないから、被告商品の包装箱における被告標章の使用は本来の商標としての使用(商標的使用)に当たらないとして商標権侵害を否定。

 

【平成22年11月25日東京地裁判決】(平20(ワ)34852号)

商標権者:㈱名学館       登録商標:塾なのに家庭教師

被  告:㈱東京個別指導学院  被告標章:塾なのに家庭教師

 

(事案と判示内容)

被告標章は、表示態様から、需要者において必ずしも「東京個別指導学院名古屋校」等の標章又は「TKG」の標章と「塾なのに家庭教師」の語を結び付けて記憶するのが自然でとまではいえない。学習塾の業界関係者、生徒及びその保護者の間においては、「東京個別指導学院」の標章は、被告が経営する個別指導式の学習塾を表示するものとして著名、「TKG」もその略称として周知であり、むしろ需要者は「東京個別指導学院」や「TKG」の文字に着目して役務の出所が被告であると認識すると解するのが自然。「塾なのに家庭教師」の語は、学習指導の役務の内容を端的に記述した宣伝文句であると認識し、役務の出所を想起するものではない。被告標章の使用は本来の商標としての使用(商標的使用)に当たらないとして商標権侵害を否定。

 

【平成10年7月22日東京地裁判決】(平9(ワ)10409号)

商標権者:博兼商事㈱
 
 登録商標:
 

 

被告:長野コカ・コーラボトリング㈱  被告標章:  

 

(事案と判示内容)

「ALWAYS Coca-Cola」のキャッチフレーズは、長期間にわたり大規模に広告宣伝活動が行われてきた。欧文文字表記、カタカナ表記は、いずれも著名商標「Coca-Cola」に隣接した位置に、一体的に記載されている。表記を見た一般顧客は、専ら、ザ・コカ・コーラ・カンパニーがグループとして実施している販売促進のキャンペーンの一環であるキャッチフレーズの一部であると認識する。いずれも商品を特定する機能ないし出所を表示する機能を果たす態様で用いられているものとはいえず、商標として使用されているものとはいえないとして商標権侵害を否定。

 

【平成13年1月22日東京地裁判決】(平10(ワ)10438号)

商標権者:宝醤油㈱
 
 登録商標:
 

 

被告:寶酒造㈱  被告標章:  

 

(事案と判示内容)

被告標章は、最も目立つ位置に普通名称が大きい文字で記載され、「タカラ本みりん入り」は比較的小さい文字で記載されており、商品の特徴や長所を説明的に示している理解するのが相当。「タカラ本みりん」は「入り」の部分の字体が異なっており、「タカラ本みりん」の部分が一連のものと理解され、「タカラ」のみ区別されるように記載されていない。右下に被告商号が記載されている。被告製造の「本みりん」は日本国内でトップシェアを有し、「タカラ本みりん」は日本国内において著名である。表示部分に接した一般需要者は被告商品に原料ないし素材として「タカラ本みりん」が入っていることを示す記述と認識するのが通常。

被告標章の「タカラ本みりん」部分は記述的表示であって商標として(すなわち自他商品の識別機能を果たす態様で)使用されたものではなく、本件商標権の効力は及ばない。

(※なお、この事案は、自己の著名表示と他人の登録商標を併用したものではないが、自己の著名表示を含む原料ないし素材の表示が記述的表示であるとして商標権の効力が否定されたものであり、参考になる。)

 

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原告(商標権者):個人

被告(被疑侵害者):合同会社ユー・エス・ジェイ

 

(Keywords)商標的使用、商標法26条、個人、ユー・エス・ジェイ、USJ、BELLO、ベロー、ミニオン、大阪地裁、高松、需要者、将来、パーク、直営店舗、オンラインストア、オンラインストア以外、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、ユニバーサル・スタジオ

 

 

執筆:高石秀樹(弁護士・弁理士)

監修:吉田和彦(弁護士・弁理士)

 

本件に関するお問い合わせ先: h_takaishi@nakapat.gr.jp

〒100-8355 東京都千代田区丸の内3-3-1新東京ビル6階

中村合同特許法律事務所

 
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