【不競法/営業秘密】大阪高判令和5年(ネ)1657<森崎>
*実験装置に化体しているとされる営業秘密が「示された」とは言えない。
⇒請求(控訴)棄却
控訴人らの関与なしに営業秘密を取得できないという主張に対し、返す刀で、寄附を受けても営業秘密「示された」ことにならないと判示された。
~特許で、当業者が容易に解析できない場合は譲渡しても公然実施とならないこととパラレルに考えられる。
(判旨抜粋)
「控訴人らは、営業秘密たる本件情報は、本件物件の外観を見ただけでは解析が不可能であり、控訴人らの関与なしにはこれを取得できないため非公知性は維持されていると主張する。…しかし、そうであれば、被控訴人が本件物件の寄付を受け、これらをその管理下においたとしても、それだけでは本件情報を知ることができないということになるから、…被控訴人が本件物件の寄付を受けることで、これにより、あるいはその際、営業秘密たる本件情報を示された旨をいう控訴人らの主張する事実は認める余地がないということになる。なお、控訴人らが被控訴人に対して本件物件の引渡しのほかに本件情報を開示したとの事実は主張立証されていないことはもとより、これをうかがわせる事実はない。また、控訴人らの主張に従う限り、本件物件を実験等に利用したとしても、そのことで本件物件の構造等にかかわる本件情報を知ることができないはずであるから、被控訴人は現時点においてもなお本件情報を「示された」とも認められないということになる。」
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/747/092747_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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