2025.11.17
産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会
第18回 審査基準専門委員会ワーキンググループ
<資料1>審査基準に関する最近の取組
生成AIの技術水準、AI活用状況、人間関与なしの発明の有無等を調査した報告書を2024年4月に公表した。調査では、進歩性判断や記載要件に与える影響、人間の関与が少ない場合の発明者認定やAIに権利主体を認める要望などを課題として挙げている。
<資料2>審査基準の改訂予定事項
「除くクレーム」への対応:拒絶理由解消のため請求項から一部事項を除外する「除くクレーム」補正が増加しており、利用実態に対する懸念が多い。審査基準の記載を点検して考え方を明確にすることを検討している。
<資料3>「除くクレーム」とする補正の考え方
最近、「除くクレーム」補正が増加しており、個別企業や関係団体から利用実態への懸念が寄せられている。
特許庁は審査官向けの起案例作成や管理職による確認、留意点の周知などの取り組みを進めている。
進歩性への影響:引用発明と重なる部分を除外することで新規性欠如は解消できるが、進歩性については当業者が引用発明から本願発明に容易に到達できるかを改めて検討し、依然として進歩性がない場合は拒絶査定がされる。
必須構成を除外しても、他の構成へ設計変更することが当業者の通常の創作能力に当たる場合は進歩性が否定される。
本WGでは進歩性・新規事項追加・明確性等の観点から審査基準記載の点検・改訂要否を検討する。
<参考資料1>(谷島委員)
一般社団法人日本知的財産協会からの意見で、「除くクレーム」補正はソルダーレジスト事件(2008年知財高裁大合議判決)以降増加しており、権利化には有用な場面もあるが不適切な活用例もあると指摘する。
実務上、本来進歩性がない発明でも「除くクレーム」補正により進歩性が認められているケースがあることや、一つの引用文献を除外すると他の先行文献が使いにくくなること、補正の繰り返しで審査が長期化し第三者の事業判断が難しくなることなどが課題として挙げられている。
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/kijun_wg/18-shiryou.html
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)