<審判実務者研究会報告書2024>事例1(機械)
令和4年(行ケ)10007【熱搬送システム】
・実務において「並列的に、現実に記載されている」といえるか否かの判断は難しい…。また、技術水準を考慮すれば、引用文献中の一般式の記載からそこに含まれる一つを抽出することが認められる場合もある…。
・本件程度の数であれば、「並列的に、現実に記載されている」といえ、一方で、数が膨大であれば、特定の選択肢を抽出することはできないといえるのは理解できるが、境目がどこかは判然としない。
・設計変更や設計的事項の採用として、特段の動機付けがなくても容易想到性を認めた判決の判断は妥当であるとの意見で一致した。
一方で、設計的事項自体の判断については予見可能性が必ずしも高くはない、との懸念も示された。
周知技術を副引用発明として用いる場合は、適用(組み合わせ)の対象であり、当然動機付けが必要となる一方で、周知技術を設計変更等の根拠として用いる場合は、本件判決の規範からみて必ずしも動機付けは必要がないといえる。
・引用発明の認定について、課題の解決に必須なものではない構成は認定しなくてもよいことが判示されているが、具体的な認定において明細書等の記載をどこまで抽出し認定することができるのかについての判断は必ずしも明確ではない。
したがって、認定する側にとって都合のよい認定を行うことがないよう留意する必要がある。
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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