【論稿/営業秘密】従業員が自ら開発・取得した営業秘密の利用・開示を企業が差し止めることはできるか(大寄麻代、知的財産法の理論と実務 第3巻)
※差止めが認められた事例
①札幌地決H6.7.8~顧客名簿
②大阪地判H10.12.22~出向先で受けた技術指導
③東京地判H14.12.26中間判決~派遣スタッフ名簿
*大阪地判H9.8.28~不正目的使用・開示が否定されたが、被告の行為が7号に該当し得ることを前提として判断された。
※差止めが認められなかった事例
①東京地判H10.11.30~顧客名簿を見るまでもなく熟知していた。使用否定。
②大阪地判平成14年(ワ)3162~顧客名簿を見るまでもなく住所等を把握していた。使用否定。
Cf.その他の「示された」要件が問題となった事例
①東京地判平成13年(ワ)5663【バイアグラ個人輸入事件】~被告が医師としての職務に基づいて得た患者情報は、依頼者である原告の保有する営業秘密ではない。
②東京高判平成14年(ネ)1413【原価セール事件】~卸売価格は売主と買主との間の折衝を通じて形成されるから、各自原始的に取得した情報であり、「示された」情報ではない。
③東京高決H15.3.31~クレジットカードの入会申し込み情報は、クレジット会社とポイントカード発行会社が各自原始的に取得した情報であり、「示された」情報ではない。
論文等(2003年~2015年6月) | 知的財産高等裁判所
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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