【論稿/著作権】絵画的な表現の著作物の保護範囲 ー博士イラスト事件ー(津幡笑、知的財産法政策学研究Vol.24(2009))
東京地判平成18年(ワ)16899
本判決は、共通する部分は創作性が無いと判断した。
~両著作物の酷似度に鑑みると、また、被告ビデオが元々原告ビデオのOEMであったが、被告がOEM契約解消後もキャラクターを使い続けたという特殊な経緯に照らすと、侵害を肯定してもよかった?
(判旨抜粋)
『角帽やガウンをまとい髭などを生やしたふっくらとした年配の男性とするという点はアイデアにすぎず,…原告博士絵柄と被告博士絵柄との共通点として挙げられているその余の具体的表現(ほぼ2頭身で,頭部を含む上半身が強調されて,下半身がガウンの裾から見える大きな靴で描かれていること,顔のつくりが下ぶくれの台形状であって,両頬が丸く,中央部に鼻が位置し,そこからカイゼル髭が伸びていること,目が鼻と横幅がほぼ同じで縦方向に長い楕円であって,その両目の真上に眉があり,首と耳は描かれず,左右の側頭部にふくらんだ髪が生えていること)は,きわめてありふれたもので表現上の創作性があるということはできず,両者は表現でないアイデアあるいは表現上の創作性が認められない部分において同一性を有するにすぎない。』
https://lex.juris.hokudai.ac.jp/gcoe/journal/IP_vol24/24_3.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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