<知財実務オンライン> 標準必須特許(SEP)の最前線グローバル訴訟動向を踏まえた実務 荒木昭子

<知財実務オンライン>「 標準必須特許(SEP)の最前線ーグローバル訴訟動向を踏まえた実務」(荒木昭子弁護士・弁理士・カリフォルニア州弁護士)

1. SEPとFRANDライセンスの現状
SEPは標準技術の実施に不可欠な特許であり、権利者はFRAND(公平・合理・非差別)条件でのライセンス提供が義務付けられている。
しかし、料率算定や差し止めの可否を巡る紛争は激化しており、特にAIやIOT機器への技術普及に伴い、ライセンス交渉の複雑性が増している。

2. 国際的な訴訟動向の変化
欧州(UPCの活用): 欧州統一特許裁判所(UPC)の運用開始により、権利者は一度の手続きで欧州広域での差し止めを得られるようになった。
これは権利者にとって強力な武器となり、交渉のパワーバランスを大きく変える要因となっている。

・中国の司法権拡大
中国の裁判所が全世界を対象としたライセンス料率を決定する権限(グローバル・レート設定権)を積極的に主張しており、国際的な管轄権争いの中心地となっている。

・米国の動向
差し止めが認められにくい現状が続いており、依然として「何が適切なライセンス料か」という金銭的な解決が主な論点である。

3. 禁止令(ASI/AASI)を巡る攻防
他国での訴訟継続を禁じるANTI-SUIT INJUNCTION(ASI)と、それに対抗するANTI-ANTI-SUIT INJUNCTION(AASI)の応酬が頻発している。
特に中国と欧州(ドイツ等)の間で司法管轄権の衝突が顕在化しており、戦略的な法域選択(FORUM SHOPPING)の重要性が増している。

4.EU SEP規則案の影響
EUが進めている新たなSEP規則案では、欧州知的財産庁(EUIPO)による必須性判定や料率の事前決定が盛り込まれている。
これが実現すれば、従来の交渉プロセスが根本から見直される可能性がある。

https://youtu.be/Y3YND0nJzd4

 

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)

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