東京地判令和7年(ワ)70141【不活化ワクチン製剤、並びに感染症予防方法】<中島裁判長>

東京地判令和7年(ワ)70141【不活化ワクチン製剤、並びに感染症予防方法】<中島裁判長>

 ①優先日前に存在が公知であった株を不活化してワクチンとすることは当業者が容易に想到し得る。
⇒進歩性×

 ②クレームの文言が、明細書に効果の開示がない別の株(Ⅲ型)まで包含する広範なものとなっている。
⇒サポート要件に違反する。

(判旨抜粋)
 ①
 甲18証明書には、「ワクチンの試作や研究のため」という記載があることからすると、「ラクトコッカス・ガルビエ 121941株」は、ワクチンの試作や研究のために使用できることが開示又は示唆されているといえる。そして、証拠(甲19)及び弁論の全趣旨によれば、「ラクトコッカス・ガルビエ」を原因菌とする魚類の疾患(レンサ球菌症)に対するワクチンの製造に当たり、その原因菌である「ラクトコッカス・ガルビエ」を不活化することは、当業者の技術常識であるといえる。・・・
 そうすると、魚類のレンサ球菌症の起因菌であり、血清型が非KG-型かつ非KG+型の「ラクトコッカス・ガルビエ 121941株」を不活化してワクチンとすることは、当業者が容易に想到し得たものと認めるのが相当である。

 ②
 本件明細書において開示されているのは、「ラクトコッカス・ガルビエ」の「Ⅱ型」を原因菌とするレンサ球菌症に対するワクチン製剤であり、「Ⅲ型」と呼称される菌株を原因菌とするレンサ球菌症に対するワクチン製剤に関する開示はなく、「Ⅲ型」を原因菌とするレンサ球菌症に対して効果を奏することの開示も一切ない。現に技術常識によれば、「ラクトコッカス・ガルビエ」の「Ⅲ型」の不活化ワクチンは、「ラクトコッカス・ガルビエ」の「Ⅱ型」を原因菌とするレンサ球菌症には効果がないものと認められる。
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-95718.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)

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