令和7年(ネ)10043【車両誘導システム】<本多裁判長>
令和7年(ネ)10043【車両誘導システム】<本多裁判長>
~逆転非充足!!
*「手前へ戻るルート・・・へ誘導」とは、「手前へ戻るルート」への途中まで誘導するのでは足りない。
1.「再度・・・手前へ戻るルート・・・へ誘導する誘導手段」について:
一般道路やSAに戻された後、運転者が自らの意思と判断で元のETC専用出入口を発見して戻ることは可能だが、
「誘導」とは「目的に向かっていざない導くこと」を意味するとして、運転者の任意で戻れることをもって「誘導」されていると評価することは困難である。
被控訴人は「第2のレーン」へ誘導すれば足り、その先の「ETC車専用出入口手前」まで誘導する必要はないと主張したが、車両が任意の経路でたどり着き得ることをもって「通じる」と解釈することは、発明特定事項を無視するものであり、明細書の記載にも反するとして、この主張を退けた。
2.「一般車用出入口に通じる・・・誘導手段」
被告各システムには「一般車用出入口」があるとは認められない。
被控訴人は、当該設備になくても「隣接する別のインターチェンジの一般車用出入口」も含まれると主張したが、明細書の記載からは、隣接する別のインターチェンジの一般車用出入口への誘導手段を読み取ることはできず、スマートICが利用できない車両が結果的に近隣の一般車用出入口を利用せざるを得ないことをもって「誘導の結果とみることは困難である」とし、この解釈を採用しなかった。
(判旨抜粋)
車両が、「第2のレーン」から出た地点から任意の経路を通じて「ETC車専用出入口手前」や「一般車用出入口」にたどり着き得ることをもって、「再度前記ETC車専用出入口手前へ戻るルート又は一般車用出入口に通じる第2のレーンへ誘導する」に当たるとするのは、「第2のレーン」が接続する地点を任意の場所とできるというのと実質的に同義であって、「再度前記ETC車専用出入口手前へ戻るルート又は一般車用出入口に通じる」という発明特定事項を無視するものといわざるを得ない。本件明細書の記載を見ても、「再度前記ETC車専用出入口手前へ戻るルート又は一般車用出入口に通じる」という発明特定事項は、例えば「レーンEに進んで、…再度レーンA、B、Cのいずれかを選択する地点に戻る。」(【0035】)、「レーンEを通って、レーンB又はCの通行券発券ボックス6より前の地点に合流するような構成にしてもよい。なお、レーンB、Cは一般車用レーンであり」(【0036】)等の記載に基づくものであり、そこでは、レーンを走行しさえすれば「ETC車専用出入口手前」や「一般車用出入口」に車両がたどり着くように導かれる、すなわち「誘導」されることが示されており、レーンを出た車両が任意の経路を通じてETC車専用出入口手前や一般車用出入口にたどり着き得ることをもって「誘導」とする旨は記載されていない。
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-94945.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)
