令和5年(行ケ)10107【誘導加熱コイルユニット】<清水響裁判長>

令和5年(行ケ)10107【誘導加熱コイルユニット】<清水響裁判長>

1.請求項1について(進歩性×)
特許請求の範囲の「~で構成され」という記載は、その材料「のみ」で構成されることに限定されず、一部に含まれる場合も許容される。

(判旨抜粋)
請求項1においては、ケースの構成につき「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成され前記加熱コイルを収容するケース」と記載されるにとどまり、ケースが電気絶縁性を有するセラミック又は樹脂という要素「のみ」により構成されることを表すような文言は記載されていない。なお、本件明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌しても、特許請求の範囲に記載されたケースが前記の要素のみから構成される趣旨であることを示唆するような記載は見当たらない。そうすると、本件発明1のケースが前記の要素のみにより構成されるものに限定されるものと解することはできないから、本件発明1の「電気絶縁性を有するセラミックまたは樹脂で構成され前記加熱コイルを収容するケース」は、前記の要素を含む構成のものであれば足りると解するのが相当である。
次に、本件発明1の「誘導加熱コイルユニット」は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1においても、文言上、「ユニット」に特別な意味があることを示すような記載はされていない。本件明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌しても、「誘導加熱コイルユニット」の構成に何らかの限定がされることを示唆するような記載は見当たらない。
したがって、本件発明1の「誘導加熱コイルユニット」とは、単に「誘導加熱コイルを含む構成単位」(ユニットとは、構成単位を意味する。)を意味するものと解するのが相当である。

2.請求項2について(進歩性〇)
甲4発明(誘導加熱調理器)は冷却経路の構造が不明確であり、甲5発明(電気調理器)は吸排気口の配置や冷却経路の構成(複数の流路に分割)が本件発明2(鋭角配置+仕切り部)とは異なる。
これらを組み合わせたり変更したりする動機づけはなく、容易想到ではない。

3.請求項3について(進歩性〇)
本件発明3の「整流部」は、気体を分岐または「合流」させるものである。
甲5発明の「仕切板」は気体を分岐させたまま排出するものであり、ケース内部で合流させる機能を有していない。

4.請求項4について(進歩性×)
「誘導加熱コイルユニット」とは、単にコイルを含む構成単位を意味し、完成品である甲5発明の「電気調理器」であっても、他のシステムの構成単位となり得る以上、「ユニット」に該当する。

https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-93344.pdf

 

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)

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