【論稿/知財全般】知的財産権侵害における 権利濫用禁止についての覚書(森本晃生、パテント誌2025年12月)
【論稿/知財全般】知的財産権侵害における 権利濫用禁止についての覚書(森本晃生、パテント誌2025年12月)
①リコー事件と「強制調停」のあり方
一審判決は損害賠償も全面的に棄却したが、実施者が特許発明の利益を現に享受している以上、「差止は認めないが、相当ライセンス料(実施料)相当額の支払いは認める」という解決(昭和43年最判の流れ)こそが、法の整合性と衡平の観点から望ましい。
これは「強制許諾(裁定)」の趣旨にも合致し、ライセンス交渉を怠った実施者を過度に優遇することを防ぐ。
②著作権法における「実質的フェアユース」としての活用
金魚電話事件(大阪高判令和3年)~機能的制約: 観光客誘致や生体維持(エアレーション)という目的上、他に表現の選択肢が乏しい場合、制作者の「表現の自由」や「営業の自由」を保護すべき局面がある。
⇒著作物性の判断(構成要件)で無理に非侵害とするのではなく、権利濫用論(類型④)を用いて「差止・廃棄は認めないが、損害賠償(実施料相当)のみ認める」という調整を行うことで、柔軟かつ衡平な解決が可能になる。
https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4750
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)
