【論稿/不競法】不正競争防止法2条1項7号の「その 営業秘密を示された」の解釈について(吉原有亮、パテント誌2025年5月)
【論稿/不競法】不正競争防止法2条1項7号の「その 営業秘密を示された」の解釈について(吉原有亮、パテント誌2025年5月)
「条件付きのC説(秘密管理説の拡張)」を提唱する。
=『従業者自身によって開発されたノウハウや従業者が自ら収集した顧客情報が、将来営業秘密になり得ると明確に認識できた場合にも、「その営業秘密を示された」の要件を満たすものと解釈すべきである。』
<適用のポイント>
既管理情報: 既に秘密管理されていれば、従来のC説に基づき「示された」と判断する。
未報告情報: 会社に報告される前(=秘密管理開始前)であっても、研修での指導、就業規則、過去の慣例等に照らし、「将来的に営業秘密になること」を従業員が明確に認識できる状況であれば、秘密管理性の要件を充足したものとみなす。
<本解釈の妥当性と意義>
事業者の貢献の保護: 従業員の成果は事業者の設備投資や給与支払いの下で生まれたものであり、未報告を理由に保護を否定するのは不公平である。
不意打ちの防止と職業選択の自由: 「明確な認識」を要件とすることで、従業員が「何を持ち出して良いか」を予測可能にし、転職の自由を不当に阻害しない。
法目的との合致: 公正な競争を確保するという不正競争防止法の目的に照らし、悪意ある「未報告情報の持ち出し」を抑止する。
<裁判上の争点化に向けた考察>
現実には「未報告情報」の持ち出しは発見が困難だが、顧客からの連絡(営業秘密の類型①②)や、退職PCの解析(技術上の営業秘密)によって発覚するケースが想定される。今後、転職の流動化が進む中で、この「明確な認識」が実務上の重要なリサーチ対象になる。
https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4641
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)
