【不競法/営業秘密】大阪地判令和5年(ワ)5749<武宮裁判長>
【不競法/営業秘密】大阪地判令和5年(ワ)5749<武宮裁判長>
元従業員が顧客情報を不正に取得・使用して競合他社で成約させたとして、不競法違反、誠実義務違反を主張したが、認められなかった。
~会社内で全員が見れるPWでは、「秘密管理性」が認められない。(多数の裁判例と同じ)
不競法上の「営業秘密」該当性(秘密管理性)について、裁判所はこれを否定した。
顧客情報は原告の基幹業務システムで管理されていたが、約1708人の全従業員が共通のIDとパスワードを用いて、私用のデバイスからも容易にアクセスできる状態であった。特定の者のみに閲覧権限を絞るなどの措置はなく、就業規則に一般的な秘密保持規定があるのみでは秘密管理措置として不十分であり、客観的に秘密として管理されていると認識できる状態にはなかったと判断された。
誠実義務および競業避止義務違反について、被告在職中に被告会社を設立し業務を行っていた点は問題視されたものの、損害との因果関係が否定された。
本件の対象となった顧客らは、原告の提示予算と実際の契約額に700万円から2500万円もの大きな乖離があり、原告のシステム上でも成約確率が30%未満の「C」評価に分類されていた。
被告らが受注できたのは、原告よりも大幅に低い予算での請負が可能であったという価格競争力の結果にすぎず、被告らの行為がなければ原告が受注できていたとは認められない。
システムからの情報削除についても、支店長という立場にあった被告が「成約見込みなし」と判断して行ったものであり、業務上の裁量の範囲内であって不当な隠蔽行為とは認められない。
【裁判例:令和5(ワ)5749】知財ポータルサイト『IP Force』
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)
