【論稿/欧州特許】欧州特許庁における食品の 用途発明の特許保護(田胡信広、パテント誌2025年9月)

【論稿/欧州特許】欧州特許庁における食品の 用途発明の特許保護(田胡信広、パテント誌2025年9月)

1. EPOにおける用途発明の分類
EPOでは、用途発明を「医療用途」と「医療外用途」に厳格に区別して運用している。

2. 医療用途と医療外用途の境界と判断基準
機能性食品は「疾患の予防(医療)」と「健康維持・生理機能向上(医療外)」の境界に位置するため、その区別が権利化の鍵となる。
医療用途として認められるためには、その行為が医療従事者によって行われることが想定され、かつ特定の疾患や症状を対象としている必要がある。

<主要な審判例の判断>
T 815/22(乳児用粉ミルク): 『身体発育を、母乳を与えられた身体発育と同程度になるよう促進する』という用途は、医療従事者の行為ではないため、医療用途(第二医療用途)としては認められなかった。

T 158/13(香水): 『眠気、疲労感、惰気などの生理的心理状態から解放』という用途は、病理的性質(鬱病など)を分離不可能に内包しているため、「非治療的使用」というディスクレーマーを用いても医療外用途として認められなかった。

T 1916/19(抗菌組成物): 健康な人の細菌除去など、疾患予防効果が無視できるほど小さい実施形態が含まれる場合、医療外用途としての保護が認められ得る。

3. 機能性食品の権利化に向けた実務上の提言
EPOの厳格な補正要件(ゴールドスタンダード)を考慮し、出願段階で多角的な記載を備えておく必要がある。
明細書作成において、医療用途(特定の疾患・患者群)と医療外用途(健康体・疾患リスクの低い群)の実施形態および実施例を明確に区別して記載することが、双方での権利化を確実にするために極めて重要である。

4. ドイツにおける権利行使
EPOで成立した用途発明は、ドイツ等において強力な権利となり得る。
ドイツでは、特許された用途を前提とした製品のデザインや使用説明書の添付といった「明白な準備(SINNFALLIG HERRICHTUNG)」を伴う行為が侵害を構成する。
(ただし、欧州連合の「健康強調表示規制」による表示の厳しさも考慮する必要がある。)

https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4694

 

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※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)

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