1. 本願商標「ベジバリア/塩・糖・脂」(「/」は改行を表す。)は,「ベジバリア塩・糖・脂」全体又は「ベジバリア」部分としてのみ自他識別標識としての称呼,観念が生じる。
2.本願商標のうち自他識別標識として機能する部分を前提に商標の類否の判断を行うと,本願商標「ベジバリア/塩・糖・脂」は,引用商標「塩糖脂」とは,外観,称呼,観念のいずれにおいても異なるか,少なくとも外観,称呼において異なるから,両商標が同一又は類似する商品に使用されたとしても,取引者・需要者において,その商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるとはいえず,それ故,両商標が類似するとはいえない。
1.判決要旨1は,商標の類否の判断の前提としての本願商標「ベジバリア/塩・糖・脂」の称呼,観念の認定において,複数の構成部分「ベジバリア」及び「塩・糖・脂」を組み合わせた結合商標としての各構成部分の分離観察の可能性自体は肯定しつつも,主に指定商品であるサプリメント,栄養補助食品に用いられた場合における自他識別力の観点から,その称呼,観念を「ベジバリア塩・糖・脂」全体又は「ベジバリア」部分としてのみ認定したものである。
2.判決要旨2は,判決要旨1を前提に,本願商標「ベジバリア/塩・糖・脂」と引用商標「塩糖脂」とは,外観,称呼,観念のいずれにおいても異なるか,少なくとも外観,称呼において異なるから,類似しないと判断したものである。
1.「『ベジバリア』の部分は,自他識別力を有すると考えられるのに対し,『塩・糖・脂』の部分は,『・』が存在することもあって3つの文字がそれぞれ独立し,『塩』は塩分を,『糖』は糖分を,『脂』は脂肪分を意味する一般的,普遍的な意味を有する文字として認識されるものであるといえる。そして,これらの文字は,それが,指定商品であるサプリメント,栄養補助食品に用いられた場合には,当該商品が塩分,糖分及び脂肪分のコントロールに良い影響を与えるなどといった記述的,説明的意味を表すのにとどまり,取引者,需要者に特定的,限定的な印象を与える自他識別力を有するものではない……。このことと,『塩・糖・脂』の部分は,『ベジバリア』の部分と比べ,明らかに小さい文字で構成されており,その分目立たなくなっていることを併せ考えれば,この部分は,自他識別標識としての称呼,観念は生じないものであるというべきである。
2.「本願商標のうち自他識別標識として機能する部分を前提に,本願商標と引用商標の類否判断を行うと以下のとおりとなる。
【Keywords】商標の類否,結合商標の称呼の認定,結合商標の観念の認定,自他識別力
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文責:弁護士・弁理士 飯田 圭(第二東京弁護士会)
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