大阪地決令和7年(ヨ)20008・20009【腹部不快感の処置のためのプロスタグランジン誘導体】
大阪地決令和7年(ヨ)20008・20009【腹部不快感の処置のためのプロスタグランジン誘導体】<松川>
<論点>
延長1: 先発品の24μg製剤の承認に基づく延長(満了済)
延長2: 先発品の12μg製剤の承認に基づく延長(存続中)
債権者は、存続中の「12μg承認に基づく延長登録」の効力が、後発品の「24μg製剤」にも及ぶ(実質同一である)と主張した。
延長登録の範囲・単位(短冊化された範囲)と存続期間延長された特許権の効力範囲(実質同一を含む広がりを有する範囲)は必ずしも一致せず、後者の方が一般的に広がりを持つが、両者は『整合的に解釈運用され、相互に調和することで、初めて特許権者と第三者との衡平という同制度の目的の実を果たすことができる』。
効力範囲は『存続期間の延長登録の範囲・単位と抵触しないという制約の中で解釈されるべき』である。
『医薬品に係る同一の特許権について、複数の政令処分を理由とする延長登録がされている場合、後れて延長登録された特許権の効力範囲は、…少なくとも、先行する延長登録の理由となった政令処分の対象とする物と成分、分量、用法、用量、効能及び効果として同一の物は、後行する延長登録の理由となった政令処分の対象とする物と実質同一ではなく、その生産・譲渡等にまでは効力が及ばないものとして解されるべき』と判示した。
さらに、後行延長登録の理由となった政令処分の対象とする物を基準としたときに、(1)先行政令処分の対象とする物との数量的差異よりも数量的差異が大きい物(例えば分量の違いがより大きい物)、(2)先行政令処分の対象とする物と同じだけの数量的差異に加えて別の質的な差異も存在する物(例えば同じだけの分量の差異に加えて成分にも一定の差異がある物)も、物としての遠近がより離れるため実質同一とはいえない。
仮に債権者の主張を認めた場合、先行する存続期間の延長が短かった場合に、その対象とする物の第三者による実施が存続期間延長制度が規律する以上の期間にわたって禁じられることになり、『延長登録出願段階での範囲・単位を成分、分量、用法、用量、効能及び効果で短冊的に区分けし、特許権者と第三者との衡平を、その範囲・単位できめ細やかに調整しようとする存続期間延長制度の趣旨を大きく損なう』。
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-95654.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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