【論稿/米国意匠】米国における意匠権侵害の判断手法の変遷(佐々木眞人、パテント誌2026年1月)
【論稿/米国意匠】米国における意匠権侵害の判断手法の変遷(佐々木眞人、パテント誌2026年1月)
米国における意匠権侵害の判断は、1871年のGORHAM最高裁判決により確立された「通常の観察者テスト」を原点とする。
1984年のLITTON SYSTEMS判決以降、CAFCはこれに「新規なポイントテスト」を導入した。このテストは、先行意匠から当該特許意匠を区別する「新規な意匠的特徴(新規なポイント)」を備えていることを要求する。
⇒これにより、侵害認定には実質的同一性と新規ポイントの流用の双方が必要となった。
しかし、2008年のEGYPTIAN GODDESS大合議判決により、「新規なポイントテスト」は廃止された。同判決は、通常の観察者テストが意匠権侵害判断のための唯一のテストであることを再確認した。ただし、侵害判断の際には「先行意匠に精通した通常の観察者」の視点で比較を行うべきであり、先行意匠との対比において差異が意匠全体に及ぼす影響を評価することが明確化された。
その後の判決では、以下の点が示されている。
①機能的な側面を概念レベルで除外した後の、全体的な装飾的特徴を考慮すること。
②比較対象となる先行意匠の範囲は、クレームで特定された物品に適用されているものに限定されること。
③被疑侵害品に付されたロゴやその配置も、装飾的な差異点の一つとして考慮され得ること。
⇒現在の米国意匠権侵害判断は、単純な視覚的類似性ではなく、先行意匠を参酌し、機能的要素を分離した上での「全体的な装飾的印象」を重視する通常の観察者テストに集約されている。
https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4765
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)
