【論稿/オーストラリア商標】「Jägermeister」の事件から学ぶ著名商標の保護及びパッケージ模倣による不正な使用に関する考察(遠藤華英、パテント誌2025年11月)
【論稿/オーストラリア商標】「Jägermeister」の事件から学ぶ著名商標の保護及びパッケージ模倣による不正な使用に関する考察(遠藤華英、パテント誌2025年11月)
オーストリア最高裁判所(OGH)における「Jägermeister(イェーガーマイスター)」の著名商標保護およびパッケージ模倣に関する判決。
1. 事件の概要:Jägermeister vs SPAR
世界的に有名なハーブリキュール「Jägermeister」の権利者である原告が、自社製品のパッケージ(オレンジ色の帯、黒の文字、鹿の頭の図形など)を模倣した商品を販売した被告(SPAR)に対し、商標権侵害および不正競争防止法違反を理由に訴えを起こした事案。
争点: 被告による模倣が、著名な原告商標の「名声の不正利用(フリーライド)」や「識別性の毀損」に該当するか。
結論:原告勝訴
2. オーストリア裁判所の判断のポイント
裁判所は、商標法と不正競争防止法の両側面から、著名商標に対する「寄生的な搾取」を厳格に否定した。
A. 商標法面(§10 Abs 2 MSchG)
混同のリスクは不要: 著名商標の場合、消費者が「二つのブランドの間に精神的なつながり(連想)」を持つ程度の類似性があれば保護される。
類似性の基準: 外観、称呼、観念の3点のうち、どれか一つでも類似していれば侵害と判断される可能性が高い。
立証責任: 不公平な利用がないことの立証責任は、原則として侵害者側(被告)にある。
B. 不正競争防止法面(§1 UWG)
評判の不当利用: 単なるデザインの模倣にとどまらず、原告が長年かけて築いた「プレミアムブランド」としての評判にタダ乗り(フリーライド)する行為は、競争の公平性を損なう不公正な商慣行である。
攻撃的な模倣: 特に若い層に人気の高いブランド要素を、漫画的に変形させて使用した点は、評判を損なう「攻撃的な行為」と判断した。
https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4731
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)
