発信者情報開示
1. 発信者情報開示請求とは
インターネットにおいて、電子掲示板やブログに加えてSNSも多用されるようになり、これらに一定の記事・発言等が投稿された結果、名誉・信用毀損や著作権侵害等の権利侵害が多くみられるようになりました。
このような権利侵害があった場合、投稿者に対して損害賠償請求等するためには、投稿者の氏名や住所等に係る情報を入手する必要があり、プロバイダ等に対し、発信者情報開示請求を行います。
発信者情報開示請求の要件及び裁判手続等については、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(プロバイダ責任制限法)に定めがあります。
2. 令和3年の法改正
プロバイダ責任制限法等は、SNS等における権利侵害があったものの侵害時の情報が保存・記録されていない場合や、コンテンツプロバイダと経由プロバイダそれぞれに対して2回裁判手続を要する場合について、被害者の救済に資するように改正されました。
(下図参照、総務省ウェブサイト「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律を改正する法律(令和3年法律第27号)の概要」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/ihoyugai.html )

3. 発信者情報開示請求の要件
(1) 開示の対象
氏名、住所等のプロバイダ責任制限法及び同法施行規則に限定列挙された情報が、発信者情報として、開示の対象となります。
特定発信者情報は、令和3年改正により創設された概念であって、SNSへのログイン時等の通信に係る情報の開示を認めるものです。具体的には、特定発信者情報として、侵害情報の送信に係る情報のみならず、SNS等の、①アカウント作成の際の通信、②アカウントへのログインの際の通信、③アカウントからのログアウト時の通信、④アカウント削除時の通信に係る情報も、一定の要件を満たす場合には、開示の対象となる旨規定されました。
(2) その他の要件
特定発信者情報以外の発信者情報の開示請求は、①「権利が侵害されたことが明らかであるとき」との要件と、②「発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき」の要件を満たせば認められます。
特定発信者情報の開示請求が認められるためには、上記①及び②に加えて、特定発信者情報の開示を要することについての補充的な要件を満たすことが必要です。
4. 裁判外における請求
発信者情報開示請求は、裁判外において行うことができます。この場合、プロバイダ等は、原則として、発信者の意見を聞くこととされています。
プロバイダ等は、発信者の意見に拘束されませんが、総務省ウェブサイトのQ&Aにおいて、プロバイダ等は、意見聴取に対して提出された発信者の意見を可能な限り尊重し、裁判外又は裁判上の開示請求に対応することが求められると記載されています。このため、発信者の意見を尊重したプロバイダ等が、裁判外における発信者情報開示請求を拒むことが少なくありません。
5. 裁判手続による請求
裁判外において、発信者情報の開示が認められない場合等には、裁判手続によることとなります。発信者情報開示請求は、以前からも裁判手続を利用して行うことができましたが、令和3年改正により、プロバイダ責任制限法に非訟手続の規定が設けられました。その中で、新たに提供命令及び消去禁止命令の制度が設けられ、コンテンツプロバイダと経由プロバイダの双方に対して裁判手続を行う必要がある場合に、従来よりも、一体的な手続として扱うことが可能となりました。
6. インターネット上の権利侵害の被害者を迅速かつ的確にサポート
迅速かつ的確に対応すれば、SNS等による権利侵害等に対する救済を図ることができます。これまでの実績を活かして、インターネット上の権利侵害の被害者をサポートします。

