パブリシティ権 ~有名人の氏名や肖像を利用する際に留意すべきこと~

1. パブリシティ権について

(1) 歌手、タレントや俳優、ミュージシャン、スポーツ選手、ユーチューバー、声優、文化人等有名人を宣伝、広告活動に用いるマーケティング手法は、以前から広く用いられています。氏名(芸名、作家名等)や容貌がある程度一般に知られているからこそ、商品やサービスについて宣伝効果が生まれます。このように氏名や肖像が消費者等を惹きつける力を利用する権利は、パブリシティ権と呼ばれ、最高裁判所の判決で認められた権利です。

(2) パブリシティ権に似た権利として、肖像権(自分の顔や姿態をみだりに「撮影」や「公表」などされたりしない権利)があります。パブリシティ権も肖像権も人の肖像の利用や公表について問題となります。肖像権は、人の人格的利益に関する人格権であり、パブリシティ権は経済的利益に関する財産権としての側面が強調された権利という違いがあります。

(3) 肖像等が商品やサービスの販売等を促進する顧客吸引力(お客様を惹きつける力)を有する場合、そのような肖像等を無断で使用する行為は、①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品として使用し、②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し、③肖像等を商品等の広告として使用するなど、専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とすると言える場合に、パブリシティ権を侵害するものとして、不法行為法上違法となると考えられています(最高裁平成21年(受)第2056号同24年2月2日第一小法廷判決・民集66巻2号89頁参照)。

(4) 肖像写真を無断で他人に利用された場合、肖像権侵害とパブリシティ権侵害の両方を主張できます。具体的な対応としては、損害賠償請求だけではなく、無断で利用している者に対し、そのような行為を止めるよう差止請求が可能です。

2. 氏名や肖像写真を利用する際に気になるポイント

(1) 上述の①~③のように、専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とする場合は、パブリシティ権侵害となりますが、無制限で保護されるわけではありません。肖像等に顧客吸引力がある者は、社会の注目を集める存在ですから、新聞や雑誌等の時事報道、論説、創作物等に肖像等を使用されることもあります。このように、正当な表現行為等として使用された場合は、違法になりません。
そこで、具体的な使い方が「専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とすると言える場合」か、または正当な表現行為等として使用されたか、が重要になります。写真の大きさ、枚数、文章と写真の関係(文章の内容を補足する目的で使用されているのか)、文章の内容自体、写真がどこに、どのように使われているか(商品のパッケージ、表紙、ウェブサイトの位置)、ウェブサイトや新聞、雑誌等の内容等を総合的に判断します。

(2) また、契約書で氏名や肖像等の利用を許諾された場合も、契約書で許諾された範囲内で氏名や肖像写真が利用されているか(目的や期間、利用枚数、利用態様等)の確認が必要です。企業の場合、法務担当者は、契約による利用許諾の範囲を把握していても、ウェブデザイナーや宣伝広告担当に許諾範囲が十分に伝えられていない場合があります。また、氏名や肖像写真の利用契約が終了したにもかかわらず、それを知らず会社のウェブサイトから削除しなかったために、パブリシティ権侵害で訴訟提起された事案もありますので、注意が必要です。

私共の事務所では、これまでパブリシティ権侵害の訴訟について複数の実績がございますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。

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