個人情報保護法 ~個人情報の漏えいへの対応について~
1. 漏えい時の対応
近年、個人情報への関心が高まっていますが、その反面、個人情報の漏えいに対しても厳しい目が向けられるようになってきました。個人情報を漏えいしてしまった場合、主として以下のような対応が必要となります。
個人情報が漏えいしてしまった場合には、原因を特定し、再発を防止するだけではなく、可及的速やかに、適切な情報開示を行うことが重要となります。個人情報保護委員会への報告や本人への通知だけでなく、場合によっては、株主への説明やプレスリリース等も必要となります。これらの対応を誤ってしまうと、「炎上」してしまうことにもなりかねません。
2. 漏えい時の個人情報保護委員会への報告・本人への通知
また、法改正に伴い、令和4年4月1日からは、個人情報が漏えいした場合には、個人情報保護委員会や本人(=個人情報によって識別される特定の個人)への通知が必要となり得ます(令和3年改正後の個人情報保護法26条)。
この条文が創設される前の統計ですが、令和2年度年次報告書によれば、令和2年度では、個人情報保護委員会に対して4141件の漏えい等の報告があったとされています(※1)。
このように、個人情報保護委員会に報告された案件だけでもかなり多くの漏えい等の報告がなされており、報告されていない案件も含めれば、かなり多くの漏えい等が発生していると推測されます。
(※1 https://www.ppc.go.jp/aboutus/report/annual_report_2020/ 第2章第3節 2022年1月14日参照)
3. 漏えい時の損害賠償
個人情報が漏えいしてしまった場合には、漏えいの対象者から損害賠償を請求される可能性があります。
情報漏えいに対する損害賠償額は、大阪高判令和元年11月20日判時2448号28頁が「個人情報が外部に漏えいしてプライバシーが侵害された場合に、当該被漏えい者が精神的苦痛を被ったか否か及び被った精神的損害を慰藉するに相当な額を検討するに当たっては、流出した個人情報の内容、流出した範囲、実害の有無、個人情報を管理していた者による対応措置の内容等、本件において顕れた事情を総合的に考慮して判断すべきである」と判示するように、様々な要素を考慮して算定されます。実際に判決において認容される損害額は、一人当たり数千円程度にとどまることが比較的多いと言えますが、センシティブな情報が漏えいされた場合は高額の損害賠償が認められることもあり得ます。また、一人当たりの損害額は小さくとも、漏えいした人数が多数に上る場合には、損害額も膨れ上がります。
損害額についての近年の統計を見ると、一人当たり平均想定損害賠償額は2万9768円(流失事件一件当たり平均想定損害賠償額は6億3767万円)とされています(※2)。
(※2 日本ネットワークセキュリティ協会『2018年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書【速報版】』https://www.jnsa.org/result/incident/2018.html 2022年1月14日参照)
4. 弁護士へのご相談
万が一、個人情報が漏えいしてしまった場合には、早めにご相談いただければ、適切な初期対応を行い、被害を最小限に食い止めるために、法的なサポートをさせていただきます。


