ドメイン名紛争処理

1. ドメイン名紛争について

インターネットが普及する中で、登録時に法令に則った実質的な審査が行われる商標権と、原則として先着順で登録することができ、登録時に商標ほどの実質的な審査が行われないドメイン名に関する紛争が生じ、国際的な問題となりました。また、裁判は多大な時間と費用を要すること、仲裁判断に対しては裁判所に不服申立てが認められないことなどを踏まえ、これらの問題を克服した、ドメイン名紛争処理のルールが設けられました。これは、不法行為や知的財産権法にはない移転請求を認める点で、商標権者等に有利なものです。

なお、ドメイン名紛争は、JPドメイン名(末尾が「.jp」のドメイン名)に係るものと、その余に大別されますが、ここでは、紙面の制約上、主に前者の説明をします。

2. JPドメイン名紛争処理について (JPドメイン名紛争処理方針)

JPドメイン名は、株式会社日本レジストリサービス (JPRS)により登録・管理されており、JPRSは、JPドメイン名の登録等に関して種々の規則を定めています。

その中に、「JPドメイン名紛争処理方針」があり、日本知財仲裁センターにおける、JPドメイン名の紛争処理について定められています。

(1) 適用対象となる紛争

① 登録者のドメイン名が、第三者が権利または正当な利益を有する商標その他表示と同一または混同を引き起こすほど類似している
② 登録者が、当該ドメイン名に関係する権利または正当な利益を有していない
③ 登録者の当該ドメイン名が、不正な目的で登録または使用されている

申立人は、上記3項目の全てを立証することとされています。

(2) 救済・裁定の種類

申立人が求めることができる救済は、登録者のドメイン名登録の取消請求または当該ドメイン名の申立人への移転請求に限られます。

このため、ドメイン名の付されたパンフレットの使用差止め・廃棄等の請求や、損害賠償請求は、ドメイン名の使用等が、不正競争防止法2条1項19号等の不正競争に当たるとして、同法3条、4条に基づき、別途、訴訟内外で行う必要があります。

上記3項目が立証されない場合は、申立てが棄却されます。申立ての取下げや和解により手続が終了することもあります。

(3) 裁判所への出訴

いずれの当事者も、ドメイン名紛争処理手続の開始前、係属中、終結後のいずれの段階においても、JPドメイン名の登録に関して裁判所に出訴できます。

3. 手続の概要 (JPドメイン名紛争処理方針のための手続規則)

手続は、「JPドメイン名紛争処理方針のための手続規則」等に定められており、①商標権者等による申立て、②登録者による答弁書の提出、③パネリストの指名 (1名又は3名)、④書面による審理(審問なし)、⑤裁定の順に行われます。

申立てから裁定までの期間が約2か月となるように、答弁書の提出期限やパネルの指名等の期限が定められているため、迅速な手続が担保されています。

パネルによる裁定は、両当事者、JPNIC及びJPRSに通知され、JPRSはドメイン名の移転や取消しの手続を行い、JPNICは裁定等を公表しています。

(JPRSウェブサイトより)

4. 小括

以上のとおり、ドメイン名紛争処理を利用することにより、柔軟かつ迅速な手続により、商標権等を脅かすドメイン名の移転・取消しを行うことができます。自社ブランドを守るためには、ドメイン名による侵害等にも十分な対策を講じることが重要です。弊所にご依頼いただけば、当事者あるいはパネリストとして経験豊富な弁護士が、ドメイン名紛争処理をサポートいたします。

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