知財高判令和1年(行ケ)第10085号「(ゲーム)プログラム」事件<鶴岡J>
*相違点の存在により引用発明と本願発明とではゲームの性格が相当程度に異なってくることから、「ゲーム上の取決めにすぎない」として他の公知技術等を用いた論理付けを示さないまま容易想到と判断することは相当でないと判示した。
(判旨抜粋)…
…相違点6に係る構成が容易想到であると判断するに当たっての審決の論理構成は,次のとおりである。
①「手持ちのカード」が他のフィールド又は領域への移動に伴いその数を減じたときに「手持ちのカード」を補充するという構成を採用するに当たって,どのフィールド又は領域への移動を補充の契機とするかはゲーム上の取決めにすぎない。
② よって,第7領域への移動をカードの補充の契機とする引用発明の構成を,第3領域(敵ヒーローへの攻撃を行うための領域)への移動を補充の契機とする本願発明の構成に変更することは,ゲーム上の取決めを変更することにすぎない。
③ よって,引用発明の構成を本願発明における構成とすることも,ゲーム上の取決めの変更にすぎず,当業者が容易に想到し得た。
…引用発明におけるカードの補充は,本願発明におけるそれとの対比において,補充の契機となるカードの移動先の点において異なるほか,移動されるカードの種類や機能においても異なっており,相違点6は小さな相違ではない。そして,かかる相違点6の存在によって,引用発明と本願発明とではゲームの性格が相当程度に異なってくるといえる。したがって,相違点6に係る構成が「ゲーム上の取決めにすぎない」として,他の公知技術等を用いた論理付けを示さないまま容易想到と判断することは,相当でない。
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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