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大阪地判令和4年(ワ)3344【高純度PTH含有凍結乾燥製剤…の製造方法】<武宮>

2025年04月04日

大阪地判令和4年(ワ)3344【高純度PTH含有凍結乾燥製剤…の製造方法】<武宮>

①★構成要件1Cの「0.1ppm以下のオゾンとの接触を抑制すること」とは、何らかの方法により実現すれば足りる。⇒充足

②★従来技術とは目的が異なるとして、新規性/進歩性〇

※構成要件1Cの「0.1ppm以下のオゾンとの接触を抑制すること」を目的として、当該目的が従来技術に無いから新規性・進歩性を欠くとするならば、充足論も、用途発明のように、ラベル論に準じた扱いをしないと不衡平なのでは?

Cf.東京地決令和6年(ヨ)第30029号【加齢黄斑変性症事件】<中島裁判長>が、医薬用途発明の実施を専ら基準により非充足とし、一定割合でよいという特許権者の主張によれば新規性を欠くとして、特許権侵害を否定したこととの対比的考察をすべきであろう。

(判旨抜粋)

(1)構成要件1Cの充足論

『構成要件1Cは、PTHペプチド含有溶液と無菌注射剤製造施設内空気に含まれる0.1ppm以下のオゾンとの接触を抑制することを規定するのみで、その手段について特定の方法に限定するものではなく、本件発明の他の構成要件において、これを限定する記載はない。

また、本件明細書には、PTHペプチド含有溶液と無菌注射剤製造施設内空気に含まれる0.1ppm以下のオゾンとの接触を抑制する手段は特に限定されないことが明記されており…、同手段の例示として、PTHペプチド含有溶液周辺の空気の流動性や流動量を抑制すること…及びPTHペプチド含有溶液周辺を不活性化ガスで置換すること…が記載されている。

このような構成要件及び本件明細書の記載内容に照らすと、本件発明1において、PTHペプチド含有溶液と無菌注射剤製造施設内空気に含まれる0.1ppm以下のオゾンとの接触を抑制する手段は限定されておらず、何らかの方法によりこれを実現すれば足りるものと解される。…

被告方法では、搬入工程を含む工程において、PTHペプチド含有溶液と無菌注射剤製造施設内空気に含まれる0.1ppm以下のオゾンとの接触が抑制されるから、被告方法は構成要件1Cを充足する。』

(2)無効論/進歩性欠如(新規性については論点とされていない)

『相違点1-3

本件発明1では、PTHペプチド含有溶液と無菌注射剤製造施設内空気に含まれる0.1ppm以下のオゾンとの接触を抑制することを特徴とする方法である旨定められているのに対し、乙1発明は、無菌薬剤製造施設内空気に含まれる0.1ppm以下のオゾンとの接触を抑制することを特徴とする方法である旨の記載がない点』

 

『乙1公報に記載された発明は、無菌移送に着目したものであり、薬剤の酸化抑制を目的としたものとは認められない。確かに、乙1公報の特許請求の範囲のとおり、乙1発明では、滅菌「不活性」保護ガス(窒素)が使用され、これには酸化抑制効果があるが、これは薬剤を無菌状態で移送することを目的としていると解されるのであって、上記の発明の詳細な説明に鑑みれば、当業者が、周囲空気との接触による酸化の抑制を目的としていると認識するとは認め難い。被告が主張するような、窒素等の不活性ガスは滅菌されなければ 滅菌不活性保護ガス」にはならない、薬剤と周囲空気との接触を抑制し、不活性ガスを充填することによって薬剤の酸化防止を図ることができる、との技術常識が存在したとしても、乙1公報に、酸化抑制効果を意図した具体的な記載がなく、薬液と周囲空気との接触の抑制による酸化の抑制との技術思想が開示されているとは認められない。

そして、…乙1公報記載の実施例は「二酸化炭素に敏感なオメプラゾール」に関するものであるところ、オメプラゾールが、酸化防止を要する薬剤ではなく、「無菌状態で移送しようとしている」非密封容器内の薬剤の例として挙げられていることも踏まえると、当業者が、このような実施例を周囲空気との接触による酸化の抑制を要する薬剤の例と解するとは認められない。同様に、…「容器2およびその中味は必ず薬用でなければならないというわけではない。衛生的あるいは非酸化性の移送あるいは保管の状態を必要とする液体状あるいは固体状の化学物質を充填した他のタイプの容器も本発明の方法によって処理できる。」との記載は、薬用ではない衛生的あるいは非酸化性の移送等を要する化学物質を充填した他のタイプの容器も乙1発明の無菌移送方法により処理できることを示すものにすぎないと解すべきである。
このような乙1公報記載の特許請求の範囲、従来技術の課題、発明の目的や効果、実施例からしても、乙1公報記載の発明は、薬液を無菌状態で移送することに着目した発明であって、薬液が周辺空気と接触することによって酸化することを抑制することを示唆するような発明であるとは認められない。』

 

『乙1発明は、薬液を無菌状態で移送することを目的とする発明であって、搬入工程(運搬及び搬入)において、薬液が周辺空気と接触することによる酸化を抑制することを目的とする発明であるとは認められないから、これを前提とする…主張は採用できないし、同様に、薬剤と無菌薬剤製造施設内空気に含まれるオゾンとの接触を抑制する作用がその構成自体に内在するという…主張も採用できない。…乙1公報にはオゾンによる薬液の酸化についての記載やその示唆はない。確かに、乙1公報には、非酸化性の移送あるいは保管の状態を必要とする液体状あるいは固体状の化学物質を充填した他のタイプの容器も本発明の方法によって処理できるとの記載があるものの、かかる記載は、当業者の理解を前提としても、乙1発明の無菌移送方法が、オゾンによる薬液の酸化の防止に使用できることを記載しているものとは認められない。また、本件特許の優先日前の技術常識を踏まえても、乙1発明をPTHペプチド凍結乾燥製剤の製造に適用する当業者は、乙1発明の構成が、薬液のオゾンとの接触抑制のためにも作用すると当然に理解・認識するものとはいえない。すなわち、③PTHペプチドが酸化されやすいことが技術常識であったとしても…、これらの公報等はオゾンが酸化原因であることを特定するものではなく、④オゾンがメチオニンやトリプトファンを酸化することが技術常識であったとしても…乙第10号証は、オゾン濃度が1ppmの環境下において、遊離のアミノ酸を対象とするものであり…、乙第11号証は、PTHペプチドとはアミノ酸配列及びペプチド鎖長を異にするラナテンシンペプチドを対象として、溶媒を空気蒸発させる態様によるものであることから、これらの文献は、PTHペプチドが、空気に含まれるオゾンにより酸化されることを特定するものではない。そもそも、…本件発明は、PTHペプチドを含有する製剤は特に高純度であることが必要とされるという従来技術の課題に加え、本件発明の発明者らが、PTHペプチド含有凍結乾燥製剤を工業的に製造しようとするとPTH類縁物質を含んだ製剤が製造されることを知見したことによるものであるところ、乙1公報に工業的製造を前提とする前記課題に関する記載や示唆はなく、本件特許の優先日前において、前記知見が技術常識であったことを裏付ける資料もないから、乙1公報に接した当業者が、PTH含有凍結乾燥製剤の搬入工程においてPTH類縁物質が生成されるという課題を認識することにはならず、PTHペプチド含有溶液と無菌注射剤製造施設内空気に含まれる0.1ppm以下のオゾンとの接触を抑制することに関する動機付けがあるとはいえない。したがって、当業者は、乙1発明及び技術常識から、PTHペプチド含有溶液と無菌注射剤製造施設内空気に含まれる0.1ppm以下のオゾンとの接触を抑制することを理解し認識するとはいえ…ない。』

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/485/093485_hanrei.pdf

 

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)

 
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