令和7年(行ケ)10046【多機能量子荷比流変換装置】<中平>
*出願人自身の著作では、技術常識を認定されなかった!!
(1)明確性要件×
本願発明の根幹をなす「NI(t)e-(負量子荷)」及び「PI(t)e+(正量子荷)」が、乱数を電荷に作用させて生成されるとの記載について、これが出願当時の技術常識であった証拠はなく、明細書の説明も不明確である。
明細書は、エネルギー源の±電極からの「負電荷」及び「正電荷」に乱数の作用を与えることで、非周期的かつ変動的な「負量子荷NI(t)e−」「正量子荷PI(t)e+」が生成されるとの叙述を繰り返すが、その物理的意味や生成機構の具体には踏み込んでいない。図1・図2は基本概念図であることが付記されるにとどまり、回路・素子・条件等の特定に乏しい。
(仮に出願人が主張する誤記を前提としても、明確性要件×の結論を左右しない。)
原告が依拠する非特許文献は、自身の著作であり技術常識とは認められない。
(2) 実施可能要件×
「負(正)量子荷生成部」において、量子荷を生成するための具体的な構成が明細書に記載されていない。
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-94989.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)