令和4年(ネ)10055【特定加熱食肉製品】<東海林>
*加熱され安全である食肉製品の技術を、加熱が不十分で安全でない食肉製品に適用できない。
⇒進歩性〇
(判旨抜粋)
特定加熱食肉製品と加熱食肉製品の違いは、単に肉の中心部の加熱温度及び加熱時間だけではなく、…発色の原理においても全く異なるから、加熱温度及び時間の変更により加熱食肉製品を特定加熱食肉製品とすることが適宜設計できる事項であるとはいえない。
加えて、中心部まで十分な時間加熱し、殺菌が十分な加熱 食肉製品と、あえて熱を十分に通さずにそのまま食べる特定加熱食肉製品では、安全性が全く異なるということができるから、当業者であれば、十分に加熱が行き届いている上、塩漬工程で亜硝酸塩が添加され安全性の担保されている加熱食肉製品の技術を、加熱が十分にされておらず菌が再繁殖する可能性のある特定加熱食肉製品に適用しようすることを考えないものといえる。
仮に適用するにしても、特定加熱食肉製品にするためには、加熱の温度及び時間管理、発色剤の使用の有無など、その仕様を大幅に変更しなければならないから、加熱食肉製品であるパストラミビーフの製品をみた当業者が、同様の製造技術を適用して、特定加熱食肉製品を製造しようとする動機付けにはならないというべきである。
さらには、たとえ発色剤の使用に否定的な消費者の志向があったとしても、それは購買時における消費者の商品の選択をいうものに過ぎず、製造技術までも適用し得るという根拠にはならない。
https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/732/092732_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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