【韓国】特許法院2024年2月3日<2023ナ10914>
外国での加工・組立が極めて些細か単純でない限り、半製品の国内生産は直接侵害にならない。
⇒部品又は半製品の生産で特許発明の作用効果を奏する状態に達している場合は、国内生産と認められるが(大法院2019ダ22782)、当該事案では、残された混合工程が「極めて些細か単純」ではないとして、非侵害と判断された。
★米国では、CAFC 2001.04 Waymark v. PortaSystems
米国特許法271(f)(2)条は、半製品が米国外に供給(supply)されていれば、米国外で実際に特許製品を完成させたことを立証する必要は無く、組み合わせの意図を立証すれば足りる。
⇒システムの完成を計画したが、実際には組み立てられなかった事案において、米国特許法271(f)(2)条の侵害を認めた。
★日本でも、大阪地判平成21年(ワ)15096『炉内ヒータ…を備えた熱処理炉』事件
*一旦組み立てた後のノックダウン(全ての部品を輸出先で組み立てる方式)が譲渡にあたるとされた。
(判旨抜粋)
被告は,海外顧客向けの被告物件についても,日本国内…において,必要な部品を製造あるいは調達した上で仮組立ての状態にまで完成させて動作確認を行っており,一部については炉体の仮焼きまで行っている。そして,同物件は,その後,部品状態に戻されて輸出されるというのであるが,海外の現地での組立て時に付加される部品はあるものの,同部品は本件特許発明の構成要件とは関係がない部品であることからすると,その日本国内における仮組立ての段階において,被告物件は,仕掛品状態であるけれども,既に本件特許発明の構成要件を充足する程度に完成していたと認められる。そうすると,この点を捉えて,被告は,日本国内において,本件特許発明の実施行為である「生産」(特許法2条3項1号)したということができる。…
被告物件は,仮組立て及び動作確認の後,部品状態に戻されて梱包の上で輸出されるというのであるが,…被告物件の上記仮組立ての状態は,その状態での運搬が不可能というほど大きいわけでもないことがうかがえることからすると,いったん仮組立てをした上で部品状態に戻すのは,搬送の便宜のためにすぎないものと認められる。…
以上を総合して考えると,被告が,日本国内においてした被告物件の販売を巡る一連の行為は,被告物件が輸出前段階では部品状態にされていることを考慮したとしても,特許発明の実施である「譲渡」(特許法2条3項1号)であるということは妨げられないということができる。
https://www.hanketsu.jiii.or.jp/hanketsu/jsp/hatumeisi/news/201206news.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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