【著作権】東京地判令和6年(ワ)70080『発信者情報開示請求事件 』<中島>
原告が匿名掲示板で「33歳」等の年齢情報を書き込まれたことで、プライバシー侵害、名誉感情や著作権、氏名表示権まで侵害されたと主張した。
⇒年齢が既に広く周知されているうえ、その事実を公表されない法的利益が公表する理由を優越しない、プライバシー侵害を否定し、「普通にキモいよ」や「自分の年齢考えて!」等も、意見であり、社会通念上許される限度を超える侮辱行為であることが明らかでないとした。
また、画像リンクの投稿は直接の公衆送信権侵害に該当せず、氏名表示権の侵害も成立しないと結論づけ、請求を棄却した。
(判旨抜粋)
本件投稿2によって本件URLを送信したことにより、本件元画像の解像度を下げた粗い画像が表示されたのに対し、本件元画像については、本件投稿2を閲覧したユーザーが、本件URLをクリックした上で、更に別のサイトに移動する旨併記された本件URLと同じURLをクリックしない限り、これを目にすることはない。
また、前記認定事実によれば、本件元画像の内容が、原告の顔を写さずにその衣装等を写すものにすぎず、そのサムネイルが本件投稿2において既に表示されていることが認められる。上記各認定事実を踏まえると、通常は、本件投稿2を閲覧したユーザーが、本件URLをあえてクリックした上で、別のサイトに移動する旨告知されているのに更にURLをクリックするといえるような事情まで認めることはできない。
これらの事情の下においては、本件発信者による本件URLの送信は、情報の流通によって原告の著作権の侵害を直接的にもたらしているものと認めることはできない。
したがって、本件投稿2は、上記にいう「権利の侵害」が明らかであるものと認めることはできない。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/708/092708_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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