【商標】令和6年(行ケ)10055『至福のギリシャ』<清水響>(原告:ギリシャ共和国)
※『至福のギリシャ』は、「ギリシャ国産」であると限定、特定して認識されない。
⇒商標法3条1項3号等違反でない。
(判旨抜粋)
本件商標は、「至福の」という語が「ギリシャ」と組み合わされてなる商標であり、…「この上もない幸せの国ギリシャ」という程度の一つのまとまりのある意味を理解させるものと認めら れるから、ギリシャという国あるいは地域そのものを「至福の」という肯定的なイメージとともに需要者に想起させ、ヨーグルトである本件指定商品のイメージに仮託するものである。それは、「ギリシャ」のみからなる商標とは異なり、産地や販売地を記述的に表示したものではなく、ギリシャという国あるいは地域から連想される抽象的なイメージを利用して、ギリシャと何らかの形で関連する商品であることを表示するに止まるものであるから、その関連性は、産地や販売地に限られることはなく、「ギリシャ」を産地又は販売地として表示するものに当たるとはい えない。指定商品が含まれるヨーグルトの取引の実情や「至福のギリシャ」のインターネット検索の結果…をみても、「至福のギリシャ」、あるいはこれに類する「至福の」等の語と国名、地域名等を組み合わせた標章が、商品の産地又は販売地その他の特徴を表示するものとして一般に使用されている事実を認めるに足りない。 原告が挙げる「至福のハワイ」、「至福のアメリカ」等の用例…をみても、海外旅行や海外の不動産等を紹介する記事や広告において、その国や地域そのものを指す表現として用いられており、特定の商品の産地を示す表示の用例ではない。 したがって、本件商標は、「商品の産地、販売地その他の特徴を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」とはいえない。 …
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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